合格の便り

 私立高校受験の結果が出る頃だろうか。公立の中学に行ったM君から合格を知らせるうれしいお便りが届いた。

 M君の父親から突然、分厚い手紙が届いたのは数年前のこと。そこには次のようなことが書かれていた。

―『私たちM男の父親と母親が唯一信頼できるのは山崎先生です。M男にとっても、とても幸せな時代を過ごすことができ、いつまでも忘れられない先生となっています』そんな書き出しで、私が転任してから後の、小学校時代の思い出や中学校への進学のこと、そして、これからの人生でM男をいつまでも見守り応援してほしいことなどが、父親の熱い思いで綴られていた。

私は、風の便りに、小学校でのある事故をめぐって納得できない学校の対応を怒り、弁護士などを交えていろいろなやり取りがあったことを聞いた。それまでは学校への信頼を寄せる穏やかなご両親や家族だったが、そのときの校長の不誠実な対応などによって、深く傷つけられ学校への不信が生まれたようだ。私が仲裁に出られることではなかったので、事態を見守るしかなかった。

M君が元気になり中学生活を充実させ楽しめたことがうれしい。彼は、私が転任した後、忘れずに手紙をくれた。

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拝啓 先生、お元気ですか。やっと高校受験が終わりました。…K高校、W高校、R高校に合格しました。自分でもびっくりしております。先生ありがとうございました。4月からはK高校に通います。…誕生日に肩車を先生にしていただいたことを思い出しています。先生、お体を大切に。ありがとうございました。  敬具

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 15歳の少年であっても、小学校時代の誕生日の肩車を忘れずに大切な思い出として彼の心の中にしまわれている。私が、特別彼に何かをしてあげたわけではない。しかし、一人ひとりの子どもたちと丁寧に向かい合い、尊敬し、共に生きてきたことは、はっきりと語ることができる。

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 今日は、うれしいことがもう一つ。大阪で教師をする教え子のT君からも手紙をいただいた。第二子誕生の報告。4人の家族が笑顔いっぱいに輝いている。

『はじめての転勤を経験し、あらたな地域の子どもたちや先生、地域の方と出会い、毎日充実しています。先生の“わんぱくマーチ”(学級通信)、授業の中で何度も登場しています!先生、お元気で!』