神楽坂へ

 雪が降るというから出かけるのを躊躇った。昨日のことだ。マフラーを巻いて粉雪の舞う中を急いで駅に向かう。電車の中で、地下鉄の乗換駅を確認した。九段下だ。

 東西線に乗って神楽坂で降りる。地下鉄の階段を上ると、水を含んだ小さな雪が冷たい風と一緒に頬に吹き付ける。私のコートと透明の傘に、雪は氷のようにへばりついた。赤木神社の横の細い坂道を右に折れて下る。激しく急だ。雪が降り積もって凍結したら、帰り道、上るのが大変だろうなと思った。

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 坂道を降りきると右手に教育科学研究会の事務所がある。傘の雪を落としてコトコトと階段を上る。ドアを開ける。もう会議は始まっていた。4時からが一つ。6時からが一つ。

 後半の会議では、夏の教科研大会のことが論議された。何かの役割を担わなくてはならない。

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 私がこの事務所を初めて尋ねたのはいつのことだろう。比較的新しい。10年近く前だろうか。何かの座談会があって、道に迷いながらやってきた。片岡洋子先生や坂本忠芳先生がいらっしゃった。小さな事務所だけれど、戦後ずっと出版され続けた雑誌『教育』が棚に並んでいる。赤茶けた雑誌の棚もあり、長い歴史を感じる。

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 8時半ごろ会議が終わって、外に出ると雪はやんでいた。今日は久しぶりに岩波少年文庫を読んだ。『土曜日はお楽しみ』エリザベス・エントランス作。アメリカの作家で『指ぬきの夏』も面白かったが内容はほとんど忘れてしまった。ゼミ生のH君はずっとカニグズバーグを読んでいる。今も何か読んでいるかな。