W先生への手紙
前略。
W先生、心温まるお手紙をありがとうございました。
ご退職の後も、引き続きフルタイムで子どもと生きる日々を続けられるとのご決意、励まされ勇気づけられました。
私の知り合いの何人かの友人たちも、60歳を過ぎてその道を選択しています。凄いなあと思います。
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A県R市の様子は如何ですか。2度ほどR市にはお伺いしましたが、出会った先生たちの優しさやご奮闘ぶりがなつかしく思い出されます。
新年度、私のゼミ生や授業で顔見知りになった卒業生が、A県の新任教師として数人採用されました。彼らには「いよいよ教師の道を歩むんだね。頑張ってください。でも、困ったことがあったら必ず連絡をしてください。A県には知り合いの教師が何人かいます。みんな子どもと心をつなげる教育をしようと頑張っている尊敬できる仲間たちです。その人たちを紹介してあげますから」と話しています。
新採者が苦しむようなときには、是非、先生にもご連絡しますので彼らの力になってあげてください。よろしくお願いします。
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先生のお手紙の中に、今年も組合の先頭に立ち活躍されるご様子が書かれていました。同時にそれが『少し負担になっている』とのお言葉もお手紙の片隅に書かれていて心配しています。どうか無理をなさらないで下さい。
先生のことですから、常に子どもの声に心をよせ、また働く仲間のことを考え、受け止め、まっすぐに不当なことと闘い、様々な対応をなさっていらっしゃることと思います。
私にも少しばかりの経験がありますが、周りの期待に応えようとし、子どもの瞳を曇らせてはいけないと思うと、いつのまにか自分の気持ちを鼓舞し、背伸びをし続け、頑張ります。それは、若さや思いの強さの中で、新たな道を切り開き、自分自身を高め、仲間と共に喜びを味わうことにもつながってきました。
60歳を越えたからといって勿論そうした喜びと遠のくのではなく、知的で創造的な若さを失うわけではありませんが、みんなの先頭に立ち、背伸びし続けるていると、言葉にできないような小さな疲れが、心や体にたまっていくのではないでしょうか。先生のお疲れもそんなところから生まれてきているのではと心配になります。
少し若い世代に何かの仕事を任せつつ、先生が最も生きることの充実や幸福を感じ、自分らしさを主張できるところを選択し、大切にしながら、これまでのご活躍を続けられたらと思いました。生意気な言い方をどうかお許しください。
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今年の夏、東京で教育科学研究会の大会が開かれます。私は、『教師の危機と希望』の分科会の世話人を数年続けてきました。よかったらご出席くださり、人間教師の生き方をお話してくださるとうれしいです。ご健康とご活躍をお祈りしています。
草々。