子どもの詩をテーマに

 大学の教室は暖かい。建物の玄関ホールや廊下は少し冷える。けれど、震えるほどではない。教室は薄着で過ごせるほど。ワイシャツに薄いセーターを着て授業に臨んだけれど、暑くてセーターを脱ぎ捨てた。90分の授業を夢中で進める。

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 この日は、子どもたちの素敵な表現『せんせい、あのね』を読みながら、子どもの持つしなやかな眼差しと『子どもの心の宇宙』について考えてもらった。

子どもは、心と体の総てをつかって今を生きている。感じ、考え、悩み、心を震わせ、ときには言葉を閉ざし、ただ見つめるだけのときもある。そして、帰り道空を見上げてそっとつぶやいたり、まばたきしたり…。その表現は実に多様だ。

黙っているからって、子どもをバカにしてはいけない。混沌とした渦の中で、あなたを、大人を、教師を、自分自身を、身の回りの出来事を、社会を、過ぎ去った時間やこれから始まる未来を見つめ、生きているのだ。

この子どもたちの豊かな表現を引き出せるのは教師の力だ。心の深さや広さがどれだけあるか、その教師の持つ心の器の大きさで子どもたちの声は生まれる。自由に飛翔する。このとき教師が、閉じられた枠組みの中で生きている限り、この自由な子どもの声をきくことはできない。

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子どもの詩をグループで読みあい、交流し、学生たちは笑い声をあげた。子どもの素晴らしさに感動した。子どもの詩の中に子どもの人権や尊厳が見えたとき、人間のいとおしさがこみあげる。このことを知った人間は、学生は、子どもに体罰をふるったり子どもを粗末に扱ったりはしないであろう。そんな思いを込めて授業を進めた。

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 子どもの詩を一つ。(私が担任した1年生のまさ子さんの詩です)

  青空

青空は/いつも/からだを/青く/そめて/ぴょんぴょん/とびまわっている