築地で学習会

 新年明けて最初の学習会、『教育&社会科ゼミ』を実施。田所さんが早くから来て社会科の授業づくりを若い仲間たちに話している。

 私は12時半、築地市場で下車し、朝日新聞社のビルを見ながら社会教育会館へ向かった。親子ずれ、若者たち、おじいさんやおばあさんたちがのんびりと歩いている。お魚を食べに来たのかな。

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 今日は、埼玉の上尾から渡辺恵津子さんと若い仲間のNさんがやってきて報告とお話をしてくれた。Nさんは2年目の教師。11月に取り組んだ『お手紙』の授業の話をレポート。

 全体を『音読劇』を中心にして学ぶ。この冬休みを使って一所懸命、報告をまとめてくれた。2年目で、自分の授業を振り返り、知らない人たちの中で語るなんてたいしたものだ。

 勇気を奮って報告したのも人生初の体験。緊張しただろうな。きっとこれから大きな力になっていくだろう。

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 渡辺さんは、今年の3月に退職される。授業で子どもたちをつかみたい、変えていきたいと取り組み始めたのが、算数だったのです…と語りはじめる。そして、実感と言葉を大切にして学びを深めることを丁寧にお話してくれた。

 具体的な算数の円の話。そして、家族の困難を背負うO君のこと。

O君の体にはいくつかの傷がある。暴れん坊のO君は掛け算も言えない。それを知った渡辺先生が放課後の空き教室で彼と1対1の学習を始める。O君はそれを『えつこの部屋』と呼ぶ。

その後がいい。

「先生、俺が80点以上取ったら何かちょうだい」

「ものはあげられないよ。でも何かしてほしい?」

するとO君は答えた。

「先生、俺、おんぶしてほしい」「…!」

 渡辺先生の豊かな教科実践の背後に、この子ども理解と愛おしさがあふれていることを知る。

「安心の中で子どもたちはつながり合い、聞いてくれる仲間がいることで語りだす。コミュニケーションの発達とはそういうこと。そして、子どもたちは、抱えたいたものを、背負うものを仲間のの中へ語りだす」

 いいお話を聞いた。