間違い
二つ間違いをしてしまった。
一つは、マンションの前の植木のこと。枝がバサリと切り落とされて悔やんでいたが、翌日、よく見ると八重桜の木々の枝は一本も切り落とされていなかった。切り落とされたのは別の広葉樹だった。ノバトが大きな体を隠せるくらい葉を繁らせる。八重桜は、網の目のような枝のあちらこちらに硬いつぼみをつけている。そうだよね、これを植木職人が切るはずがない。
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もう一つの間違い。それは映画『オーケストラ』の音楽のこと。映画の中で流れる曲は、チャイコフスキーの『バイオリン協奏曲』。それを『ピアノ協奏曲』と書いてしまった。パソコンで書くブログの怖さ。ポンとキーを叩けば、もう見知らぬ人々に公開されてしまう。確認しないまま間違えた文字も、あっというまに人々の目の中へ。
ブログに登場していただいた方々も、ずいぶん気をつけているつもりだけれど、もしかしたらご迷惑をかけているかもしれない。お許しを。
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いま、ぶらりと食事に出るとき、ポケットに岩波新書の『羊の歌―わが回想―』(正・続、加藤周一著)を入れて持って行く。大学時代、親友の福田美津夫君が「これは面白かった」と言って紹介してくれた本だ。読もう読もうと思っていたが、読まずにとうとう40年がたってしまった。その本を引っ張り出して読んでいる。新書というのだけれど、本の回りはすでに黄ばんでいる。
日本の戦争の行方を、敗戦の前から予測し論議しあう学生の加藤やその仲間たち。加藤は、広島の原爆投下のあとの米国調査団にも日本側の一員として医学生として参加している。全体が、鋭い眼差しと批評に満ち、自己のあり方や日本社会の動向、人々の文化や生活のありようを切り取っていく。