マンションの共用部分の給水管工事が終わった。今日は朝から理事による最終点検と確認。

 理事長のKさんと私で、受注業者の人たちから説明を受けた。

 6人もの人たちがスーツ姿でネクタイを締めて応対する。仕事とはいえ偉いなあと思った。この人たちも、家に帰ると子どもたちの父親である人もいるだろう。教え子たちの父を思った。

 7階の屋上に登る。暖かな冬の日。

 遠くに雪をいっぱいに抱いた富士が見える。

                ※


 

  冬の朝

 山あいの小さな村の冬の朝だ

 木々の小枝が

ポキリと折れるみたいに静かに固まっている

 凍えた村のあぜ道を

こちらの細道から 向こうの土手へ

小さな子どもらが走っていく

白い息が三つ

生まれて 消えて 生まれて 消えて

ほっ ほっ ほっ!

色のない村の風景

そこだけが いのちをおびて生き返る

 子どもらは田の片隅で

 小さなつららを折り取ると

 振りかざし

 あかぎれの手をかざしながら駆けてきた

 庭を突きぬけ 蔵を曲がり

 背戸の小さな崖を登り始める 

 突然 後ろを振り返る

あどけない瞳が輝く

 ああ、そのときだ!

 子どもらの顔が一度に金色に染まった

 山の黒い稜線から

 光の束が駆け下りてくる

 色のない凍えた村に

静かに命が甦る

 子どもらは 赤い頬を火照らせて 

 つららに光るダイヤを見つめる

 何だかうれしくてたまらないように

 ケラケラと笑っている