白い息
マンションの総会。間違ったことを何一つしてないのだから心配することはないのだが、若干の質疑があって無事終了。終わってホッとした。理事長をしてくれたKさんに感謝。
部屋に戻って仕事をし始めたが、ゼミ生たちのことが気になりだした。「今ごろ、みんな走っているかな」
S君は陸上部、大丈夫だろう。問題はTさんたち。まったくの素人。無事走り終えただろうか。途中で何かなければよいが。電話をしようか、いや、そこまですることはないか…。
※
11月28日、『河口湖マラソン大会』。4年生のゼミ生の幾人かが、卒業の記念にこの大会に出るという。
「無理するなよ。初心者が湖畔1周など無謀だからね」
心配で何度もそう言っていた。
S君とTさんは9月のゼミ合宿から、もう走る気満々。毎週、ゼミの終了後、誘い合って5キロ、10キロと走っていた。
※
4時ごろついにS君に電話。つながらない。さて…。
5時半ごろ携帯が鳴る。S君からだ。
「やあ、S君。走り終えたかい」
「ええ、楽しかったです」
「みんな無事に走りきったの」
「参加者は、ぼくとT君とTさんの3人でした。みんな27キロを走りきりました」
「うわぁ、凄い。おめでとう、やったね」
それからT君やTさんとも話す。
「富士山がずっと見えて、湖の周りを走るのは最高でした」
「苦しかっただろう」
「ええ、最後は足があがらなくてどうなるかと…。でも何とか走りきって最高です」
「大学時代の素敵な思い出だね」
スタートは、朝の7時半からだったという。みんな河口湖一周を3時間以内で走りきったという。よかった。
キラキラと輝く青い湖面。光の中を水蒸気が上がっていく。白い息が、一定のリズムで音を立てて口元からもれる。青春が走っていく。かけがえのない時がいま刻まれている。頑張ったね!