おめでとうKさん

 S先生からお手紙をいただいた。赤ちゃん誕生のお知らせだ。ずっと、どうかなあと心配していたから、うれしかった。

「やったね! おめでとう」

大きな声で叫びたくなる。赤ちゃんを抱いてご主人と二人笑顔がいっぱいだ。後ろに咲いている赤い花は公園の百日紅だろうか。

 お手紙にはこんな言葉が―。

『お元気ですか。無事に元気な男の子を出産しました。K太はすくすく大きくなり、ずっしりしてきました』

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 S先生には、転勤して一年目、学校に慣れずにいた私が、校内のあちらこちらで戸惑っているとき、随分声をかけてもらい助けてもらった。感謝の気持がいっぱい。退職の日には、学校まで駆けつけてくれてお祝いをいただいた。

 そんなS先生から、研究授業の相談を受けたとき、ぼくは言った。

『研究授業を引き受けるってドキドキすることだけど、勇気を出して挑戦するといいよ。この10年間を頑張る。すると何かが自分の中で変わります。授業がたのしくなるから…』

 S先生は、それからグイグイと素敵な授業を続けている。わたしの授業には『悪魔くん』が登場するが、彼女は自分の素敵なキャラクターを創り出し、ときどき授業に登場させている。

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 今日は、朝から30・31日と行われる全国学童保育研究集会のレジメ作りと講義の内容を考えていた。テーマは『高学年の子どもの生活』―。9歳から12歳を生きる子どもの育ちと現代の課題、そして、この時期の子どもたちとどうかかわるか。夏休み中、参加者配布用の討議資料を送っていたが、頭の中はすっかり空っぽになっていたから…。

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 午後の2時半ごろに仕事を終えて、昼を食べに行く。9階の蕎麦屋に入る。ここのカレーうどんは私にはおいしい。窓際のカウンターで空を見つめながら食事。それから、購入した岩波新書と佐藤春夫を読む。2時間近くすわっていてもお客はこない。