手紙

 新規採用されたばかりで命を絶った小学校教諭・故木村百合子さんの裁判を支援する会からニュース第12号が届いた。

 テレビ朝日が『報道ステーション』でこの問題を取り上げ、近日中に放映してくれるとのこと…。たくさんの人々が見てくれるといい。

 有無を言わさず押し付けてくる教育の条理を踏みにじる施策、子どもたちの生き辛さから生まれる様々な困難、身も心もギリギリのところで耐えながら、子どものためを思い日々実践している教師たちの悲鳴を知ってほしい。そして厳しい眼差しにさらされ苦悩を背負う新採教師たち…。

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 先日、大河原に行った別れぎわ、S先生が言ったことが忘れられない。

「『明けない夜はない』(村山ひでさんの言葉)と、先生がご自分の体験をふくめてお話されましたよね。今日のお話を聴いて、明日には教師を辞めようと思っていた人が、この一週間は続けてみようと感じてくれたかもしれません。あと半年、頑張ってみようと思った方もいるかもしれません。ありがとうございました」

 教師を続けることの喜びも大きいけれど、一旦引き受けた学年や学級が困難いっぱいのとき、それは筆舌に尽くしがたい教師生命の危機を背負い込むことになる。

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 同じポストに4年生のRさんから手紙も入っていた。

「先生、運動会きてくれてありがとう。今、北海道に来ています。親戚の結婚式がありました。釧路動物園に行きました。元気なトラのココアに会い感動しました」

 1月の道徳の授業のこと覚えていてくれたんだ。うれしい。この夏、わたしもココアにあってきた。釧路の動物園は遠い。Rさんが「どうしても行きたいの!」と言って、無理矢理お母さんやお父さんを説得したのだろう。釧路の動物園の中を、心弾ませてココアに会いに行く少女Rさんの姿が目に浮かぶ。学んだことが忘れられなくて本当に会いに行くなんて、何て素敵なことだろう。