運動会

 秋晴れの日曜日。今日は矢口西小学校の運動会。自由が丘と多摩川で乗り換えて、下丸子駅で下車。駅前の大銀杏がびっしりとまだ青い葉をつけている。

 校庭に出るとたくさんの人たちの声援が、あのなつかしい風景と一緒にぼくの目に飛び込んできた。6年生が走っている。頑張れ!あの子もこの子も知っている。

              ※

 木陰を探して赤組児童席の後ろに回った。子どもたちに声をかけるのは悪いなと思って保護者の列に混じって各学年の演技をそっと見ていた。

 ふと気付くと、いつの間にか4年生の子どもたちが私を発見して一人二人と手をふる。あっという間に20人近くがわあっとこちらを振り向いて手を振ってきた。

「先生!」と呼ぶ声。水飲みに立った子どもたちが私を取り囲む。なつかしい思いでひさしぶりに握手をする。

「先生、白組にも行ったの」

「いや、まだだよ。午後、向こう側にいこうかな」

 4年生と話していたら、6年のI君たちがやってきた。

「先生、来てくれたね」「ああ、夏休みにお手紙もらったよね。ありがとう」「今日のぼくの仕事は、デジカメで取材するんです」

「先生、卒業したら高尾山に行こうって約束したよね。覚えてる」

「覚えてるよ。本当に行く気があったら春休みに行こうね」

              ※

 今度はS君。

「かけっこ、残念だったなあ。転んじゃったね」「足がひっかかっちゃったんだよ」「最後までいるからリレー頑張れよ」「ハイ!」

              ※

 午前の部の終了前、白組の後ろに行った。

 今度は、みんながワーッとやってきた。握手をしてすぐ自席に着くように言った。保護者たちとも挨拶。

              ※

 若いI先生やS先生たちの活躍を見ていた。もう一人前を通り越してキラキラと輝きながら子どもたちを指導している。うれしい。この光景を見ただけで来たかいがあった。

 お昼は職員室でいただく。最後のリレーまでみて帰る。