クレーマーだなんて

 びっくりした。義父のリハビリ施設について、別の場所を探していたのだが、S市によいところがあり話を具体化していた。ところが、なかなか入所の許可がでない。

 不思議に思って義父の娘たち二人が訪問すると、どうやら私たちのことを「クレーマー」と思ったようだ。私は、義父の思いを聴いて、当然のこととしていくつかのお願いをした。しかし、その思いはあまり実現できず、仕方がないので別の施設を探したのだが、そのことが新しい入所先に「クレーマー」として伝わったらしい。まいった。

             ※

 ところで、私が施設に申し入れたことは次のようなことだ。

①昼のシャツと夜のパジャマとを変えていただけないか。

②夕食時、全員がそろい、食事の前の口の体操から食事、「ごちそうさま」、歯磨きまでが2時間かかる。そのあいだずっと同じ場所で待ちながらクーラーの風を直接浴びている。席の移動を考えてほしい。

③朝の食事、10時、昼食、3時、そして夕食等、決まった時間に入所者がリビングに集まるのだが、体調や気分で一人になりたいときもある。それを認めてやってほしい。

④お風呂へ入るときやその他の対応で、ものを扱うようにではなく人間的な対応をしてほしい。…など。

             ※

 90歳になる義父が言った。「みんなスタッフが足りなくて忙しいんだ。だからいろいろお願いは出来ない。言わなくていい。がまんする…」。そして、こんなことも言った。

「やり方が、物を扱うみたい。時間内に全部をみなくちゃならないからそれは大変なんだ。役目が終わるとスタッフは帰る。そして時間で変わる。自分の仕事が終わればそれでいいからね。だけど、人間を扱うようにしてほしい…」と。

私は、そのことを施設に伝えることにした。義父は、根本に人間的な対応や会話を求めている。それが、介護をするスタッフに、例えパートであってもわかってほしいと思った。

 『人間をあつかうように』―。それは、どの分野にだって今最も大切にされるべきことではないか。

 申し入れについては、事務局の方と話し合い、先方の事情についても理解を示していたのだけれど…。