夕暮れの富士

 9月1日、ゼミ4年生の『卒論』に向けた交流合宿。

 午前10時、大学による。前期ゼミレポートを印刷製本するため

だ。研究室には、もう4年生が3人待っていてくれた。

印刷のため事務局に行くとSさんが対応してくれる。毎回丁寧にコピー機を操作してくれる。うれしくて何度もお礼を言った。原稿は、またたくまに印刷され冊子になって出てくる。表紙をつけて出来上がり。やったね。

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12時半、守衛室前。総勢10人が3台の車に分かれ、河口湖近くのY荘に向かった。車は快適に走る。

「ねえ、結構スピードがでているんじゃない」

「先頭のMさんが、速いんですよ」

 富士吉田から河口湖近くになると、信号が少ない。車は流れるように走る。

「Mさんのサングラス姿、似合うね」

 最後尾を走る仲間たちが言った。

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 Y荘に着いて、部屋の扉を開けると、みんな一斉に歓声をあげた。

「わあ!富士山が正面に見えるよ!」「絶景だ」

 窓枠いっぱいに富士がゆうゆうとそびえている。私は、都留に来て半年。やっと念願の富士と対面した。

 午後2時。小さな会議室で、学習会を開始した。みんな、ひさしぶりに頭を使って少しくたびれる。

 一日目の学習を終えて6時。部屋に戻って私は息を飲んだ。窓辺に夕暮れの富士が墨絵のように浮かんでいる。山頂近くの右上部が沈む夕日を受けて橙色に輝いている。いいなあ。

 「さあ、みんな。これから夕食のバーベキューだ」