K君のインタビュー

 なつかしい目黒線のK駅でK君と待ち合わせ。午後2時。少し早く着いたので商店街の本屋さんに入って涼んでいた。なつかしい。

 K君は中3だ。駅前の広場にいたK君に声をかける。「やあ!」と挨拶。卒業のとき一緒に高尾山に登って以来2年半ぶりの出会いだ。この3年間、彼の背はグングン伸びて、私の方数センチちぢんでいて額も広くなる、やれやれ。自分の成長にあらためて驚いただろうな。

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 中学の宿題のインタビューに答える。街の珈琲店の2階にあがり冷たいものを飲みながら。

「2600字の論文にまとめる課題です」

「ああ、君なら簡単だね」

「字数の上限はなくて1万字書く人もいるんです」

 課題は“「仕事人」のいまと来歴”とのこと。課題にふさわしいと思わないけれど、K君がわざわざ私を選んでくれたのがうれしい。

 小学校時代から、中学、高校、大学、教師になってなど思い出をいくつかピックアップして語る。教師になったきっかけや大切にしていること、現代の教育問題等あれこれ。

 彼は、どこで調べたのか私の本を手にして付箋をはりながら読んでくれていた。一緒にケーキを食べた後、駅で別れる。K君の依頼で本に一言書いた。『好奇心にあふれる君の成長を楽しみにしています』と。

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 終わって自由が丘で降りて本屋による。ひさしぶりだ。