冷たい雨の一日

 朝は傘を持って出た。「降らないといいのにな」と思いながら…。

 子どもたちがやってくる。おやおや、元気な挨拶がないぞ…。心も曇り空かな。

 「朝会は外だよ」と言うと「やだあ!」と悲鳴があがる。

 「先生、寒いよう」だって。

 「はい、30秒で出るんだよ。30、29、28、…」

 ゆっくりと数を数えながら、突然言った。

 「5、4、3、…」「ええっ!」「ギャア、先生ずるいよう…」

 私は、笑いながら「今のは嘘。25、24、23、…」と言いながら、教室を後にした。「早く出てくるんだよ」と言いながら。

 朝会のある日は、必ず、こうして声をかける。一度教員室に戻って仕事をした後、もう一度教室に行く。廊下を歩きながら、途中の同学年のクラスの教室にも声をかける。「朝会があるよ。遅れないように外にでるんだよ」と。

              ※

 月曜日の1時間目は、みんなのお話をじっくりと聞いた。それから金曜日に忘れた漢字10問テスト。

時間目は、国語。『モチモチの木』。きょうは、「やい、木ぃ」の一言にしぼった。おもしろい、おもしろい。子どもたちがワイワイ発言した。黒板は発言でいっぱい。私は、子どもたちの発言にあわせながら、黒板いっぱいにモチモチの木の絵をかいた。私の授業を見た方なら知っているが、黒板はもういろんな色の文字と絵でめちゃくちゃ。でも、ちゃあんと意味があって、子どもたちはその絵や文字に向かってワイワイ言う。

月曜日に、子どもたちを授業に夢中にさせるのは、難しい。でも、ていねいに子どもの声を聴き取りながら積み上げていく。あせらない。子どもたちは、発言をしながら、学校で学ぶ自分の位置や関係、感情を作り出していくのだ。そのことを、少しずつ応援してあげる…。