少年の日の読書

 作家たちの幼い日々の記録をよむと、無我夢中で本を読んでいる。

 それは、信じがたいくらいの読書量だ。勿論、そうした子どもでない場合もあるが…。

 私は、少年時代本当に遊びほうけていた。父は小学校五年生のはじめに亡くなったから、もう叱る人間はいなかった。テレビを買い、ひたすら夢中で見ていた。『白馬童子』とか『ジェスチャー』とか『怪傑ハリマオ』とか『サンセット77』とかね。

 ところが、どこかでそんな私を心配して本を送ってくれた人がいる。そう、あしながおじさんのように…。最初に送られてきた本が『ビィーチャと学校友だち』。私は、見向きもしなかった。しかし、五年生の冬、友だちと遊びつかれてコタツに入ったとき、何げなくページを開いた。

 はじめは、めんどくさいなと思った。しかし、何だか心が惹き付けられて少しずつよみ進めた。そのうちに「ごはんだよ」と呼ばれても本を閉じるのがもったいなくなってしまった。私と同じ、学校で、家で遊びほうけていて、学習のわからない子が登場する。そして犬に芸を教えるのだ。わたしは、すっかりその本が気に入って、犬に芸を教え始めた。妹の算数の宿題の場面も、よみ始めたら面白くてやめられなかった。

 岩波の少年文庫は箱に入っていた。時々送られてくる。6年生になったころ『地下の洞穴の冒険』は大好きで夢中になった。私も、近所の小年少女たちを集めて少年探偵団を作り『星の子団』と名乗っていたのだ。鎌や鉈を腰にぶらさげて山の中に基地をつくりにいったり、知らない村まで冒険に出かけたりしたのだ。洞穴があったらロープを結び付けて冒険をしたいと思ったくらいだ。

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 今日の一日、あまり頭がすっきりしなかった。学級便りを2通書いて、ローズマリ・サトクリフの『王のしるし』読んだ。よみ終わる。それから、確定申告を始めた。連れ合いがほとんど手伝ってくれる。夜は、もう何もやる気がしない。