笛、練習してきたね

 宿題にリコーダーの練習をだした。特別、親の印などいらないよと言っておいたのに、「合格したらお母さんに印をもらってくるんだ!」と、うれしそうに子どもたち。木曜日の宿題だった。金曜日が忙しくて、聞いてあげられなかったから、今日聞いてあげた。


 音楽の時間、『雪のおどり』を吹いて歌った後、「みんな練習していていいよ」と話して、順に呼んだ。「少し、小さく吹いてね」と頼みながら。

 驚く。M君の練習長にお母さんの印がいっぱい押してある。

「凄いな、M君、こんなにできるようになったのね」

 2学期の初めの頃、笛の練習がはじまると、笛を解体していたM君だ。やったね、『河は呼んでいる』までふけたよ。

 練習曲でうまくふけないとき「もう一度、練習しておいで」と話すと、ギャアーと叫んで地団太踏んでいたL君など、ついに練習曲の最後『思い出のアルバム』まで吹いてしまった。このL君には、教えられることが多い。

 初めの頃、とても音にならなかったのだ。唾ばかり床に落ちてピーピーとしかならない。「この子は、笛がふけるだろうか」と悩んだ日もあったのだ。子どもって凄い。L君は、繰り返し繰り返しSケンにもこないで吹き続けていたのだ。

 そして、言われた。

 「先生は、休み時間Sケンにばかり行って、たまにはぼくの笛を見てよ」と。

 私は、子どもの見方をまた激しく揺さぶられ、自分の至らなさを思った。