雪道

  雪道を転ばないように歩いて学校へ行った。今日は、保護者の読み聞かせがあった。職員の朝の打ち合わせで教室に遅れていくと、もう“読み聞かせ”は終わっていた。KさんとFさんのお母さんにお礼を言う。

 「みんなとても静かに聞いてくれましたよ」

 Kさんのお母さんは、胸に『おにたのぼうし』(あまんきみこ作)を抱えていた。「ああよかった。その本、節分の日に読んであげていたのです」とお話しする。

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 『雪道』と書いて、懐かしい思い出がよみがえってきた。伊藤整の作品に詩集『雪明りの路』があり、また小樽を舞台にした『若い詩人の肖像』がある。学生時代にこの本を読んで、わたしは小樽に憧れた。それから二度ほど訪れている。18歳になった私には、いつまでも心ふるわせられる本になった。10年前、講談社文芸文庫で復刊されたので、早速購入して再読した。ふつう文芸本は、再読しないのだけれど、この本は懐かしく読んだ。

 函館は、友人たちの招きで何度も訪れている。そこから江差まで車で迎えに来てくれる。青い日本海が忘れられない。いま、小樽や札幌、そして函館や釧路などは、激しい雪の中にあるのだろう。