教科研の学習会

 明治大学で教科研の会議があった。担当委員による今日の教育の検討課題を話し合う場だ。神保町に12時45分ごろ着いて、急いで歩いた。


 会場に着くと、久冨先生から丁寧なお手紙をいただく。拙著『希望を生みだす教室』について、5枚にもわたる感想やコメントがびっしりと書かれていた。温かで熱い思いが伝わってきて感動した。そして、「教育社会学の立場からも、考えさせられることがたくさんありました」と。


 佐藤広美副委員長の提案の中にも、『子どもとともに生きる教育実践』という項で、私の実践が取り上げられた。1980年代を代表する丹羽徳子氏の実践と2000年代の私の実践とを比較検討しながら、教育科学研究会として、子ども、教育、教育実践をどう見るかという問題提議であった。教科研で、私の出版した3冊の本を徹底的に分析したり討論したりしたらどうかという。恐れ多いし怖いことだが、このように取り上げてくれることを、ありがたく思うし、うれしく思う。

 私は(おそらく多くの教師たちがと思うけれど)、この十数年間、教育実践において、苦闘し、悩み、必死で子どもと生きることを考えてきた。いま子どもをどう見るのか、学ぶとはどういうことか、教師として生きるとは…、など答えのない答えを模索し、そうしなければいられない状況を生きてきた。日本の子どもたちの生きる辛さや悲しみ、止むに止まれぬ表現等、多くの方々に知ってほしいと願った。特別な実践をした覚えはないし、みなさんに誇れるようなことはない。その日を生きることに精一杯だったのだ。そして、その記録を書いただけなのだが…。

 そのことが、山ほどの批判や検討がなされるであれ、多くの人々や研究者の話題となり、今を生きる子どもたちや教育の現状を考え、希望を語るきっかけになってくれたらうれしいと思う。

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 終わって、御茶ノ水で懇親会。たくさんの研究者や仲間たちと飲む。8時半ころ散会し、友人の佐藤博さんと神保町の地下鉄の駅に向かって歩いた。