身辺雑記…トマトジュース、文庫本他     2024,7,5

◆トマトジュース

 先日、教師となった若い友人Aさんから贈り物をいただいた。中身はトマトジュースの詰め合わせ!本を送ってあげたお礼にいただく。

 手摘み完熟トマトの缶ジュース(無塩)だ。このところ、毎朝冷蔵庫から1本取り出し、朝食前に新聞を読みながらいただく。棚からワイングラスを取り出し、そこに注ぎ込んで飲む。

オレンジがかった太陽の色が輝いている。うれしい。

「おいしい! ありがとう!」

と先日伝えたら、こんな返事が返って来た。

「わたしは、お風呂から出たあと毎日飲んでいます!」

 Aさんの生まれた土地では、特別の生産をしているんだね。気候と土壌の条件がそろい、通常売られているトマトのような、青い時期に早めに収穫して倉庫で完熟させ店に出荷する方法をとっていないようだ。『手摘み』と書いてある。赤く完熟したトマトを畑で直接収穫し、塩分を加えないで100%のジュースにしているようだ。

 すごいなと思う。

 連日続く暑さの中で、朝起きた時に頂く一杯。元気をもらった感じがする。

 今朝の気温もすでに31℃を越えている。どうか一日、子どもたちと教師たちとが無事ですごせますように!

 

◆時代小説3冊ほか

 小杉健治氏の『長編時代小説書き下ろし・風烈廻り与力・青柳剣一郎』シリーズの初期のものを3冊連続して読んだ。

 このシリーズは、書店でよくみかけるけれど、最初の頃のものはほとんど棚に並んでいない。だいたい60巻を越えて今も出版されているんだから仕方がないけれど。だけど不思議なことに第1巻は、ほぼどの書店に並んでいて、あとは50巻とか60巻とかそのへんの文庫本が何冊か並んでいる。

 どこから読んでも楽しめる1冊だと言っていいけれど、登場人物のことが気になって(それもこの小説の楽しみの一つ)「最初の頃のものを読んでみたいな」と思って探していた。勿論まだ数冊しか読んでいなかったけれど。

 久しぶりに神保町にでかけることがあって古本屋とか書店をさがしたけれどない。でも、先日立川の丸善ジュンク堂に行って文庫本棚を覗いたら、何とこのシリーズの初期のものが並んでいてびっくりした。

 文庫本の値段は1冊が600円ほど。最近、本の買い控えをしていたけれど、この値段はちょっとうれしい。「ええい、買うか」と決意して第2巻~4巻までの3冊を購入した。カフェで飲むコーヒー1杯分かと自分を許すことにした。

 そんなわけで第2巻を読み出し、いつのまにか数日のうちに4巻まで読んでしまった。やれやれ、どうする? またこの続きを買いに行くか。

 近くの図書館には残念だけど揃っていなかったんだよね。

 ところで同じ時代小説の文庫本でも、北原亞以子著『深川澪通り燈ともし頃』(朝日文庫)の方は990円。3月に岩波現代文庫となった『ショック・ドクトリン』(上下巻)の方はどちらも1冊1650円だったね。

物語を読む『大造じいさんとガン』⑦ 2024,7,4ブログ

  『知り知り知り隊スーパーⅤ-1』№173(2004,3,10)号より

《はじめに》 授業の進め方について思うこと

 『知り知り知り隊スーパーⅤ-Ⅰ』の子どもたちと学習した『大造じいさんとガン』の授業記録は、今回でおしまいです。ぼくは学級通信の記録を読み直して、授業に対する新しい発見もありました。子どもたちの鋭さと同時に、自身の授業に対するいたらなさなどについて、少し思うことがありました。その一端は、全7回の授業記録紹介の《はじめに》に書きました。

 7回目の記録を読んで、内容とは別に感じたことは、授業へのすべての子どもたちの参加がなされていたかどうかについて、もう少し工夫ができなかったかなということです。

 このことに関して2つのことを考えました

 第1は、子どもたちは発言していなくても毎回この授業にその子なりの姿勢で参加しているということ。通信には授業の感想ではなく当日の読み取りノートから特徴的な言葉を選んでクラスのみんなに紹介していますが、この子たちは手を挙げて話さなくても仲間の発言をしっかりと聴き取り心を動かしています。それは、授業記録を読むとわかります。子どもたちの集中した発言や討論がつくる、ある種の“濃密な時空”が教室に生まれていることが分かるからです。

 第2は、グループ討論を入れることの可否についてです。学び合う授業において、全員が主体的に学ぶための一つの方法として、授業の途中でグループ討論(話し合い、班会議…等)や数人での自由な語り合い(2人とか4・5人とかで)を入れたらよいのではないかという指摘です。ぼくは、このことを否定するわけではありませんが、クラスみんなで学び合う授業がつくりだす“濃密な時空”が壊れない限り取り入れても良いかなと思います。小さなつぶやきしか言えなかった子がグループの中でなら発言できることは重要です。そこで“ハッとするような意見”が出されるかもしれません。3分、5分の話し合いをいれることによって、クラスみんなを巻き込んだ豊かな学びが生まれる可能性があります。

 但し、グループ討論に入る前に、集中した学びが成立し、そこに討論や対話が生まれている場合、グループ討論でそのことをどう考えるか話しやすい側面があると同時に、一旦つくり出した学級全体の学びの持つ“濃密な時空”が、“ゆるみ”とか“集中の途切れ”―時には“脱線”などが生じる場合があります。

 これは、授業における“集中と弛緩”の“波”と考えればよいと思いますが、45分間、学級の雰囲気を崩さずこの波を保つのはなかなか大変かなと思います。学習内容に関する明かな問題や課題解決のためにグループ討論などを入れる学習はかなり重要だと思いますが、国語の物語文などに於いては、どちらかと言えばグループ討論を入れるときに“波”の崩れが起きやすい場合が多いのではと思います。勿論、ぼくが今回進めてきたような授業において、集中しない児童や考えていない児童がいるのではないかという指摘もなされるかと思います。さらに、グループ討論を入れた豊かで質の高い国語の授業を創り出している方もいらっしゃるかと思います。そうした実践も機会があったら聴いてみたいなと思っています。(2024,7,4記)

 

大造じいさんは、残雪の姿に心を打たれる

【授業場面】

 大造じいさんのおとり(囮)のガンをハヤブサから守る残雪は、ハヤブサとともに地上に落下してたたかう。大造じいさんが近づくと、胸の辺りを紅に染めて残雪はぐったりしている。しかし、大造じいさんを見て、残る力をふりしぼって長い首を持ち上げる…。

 

聡志 …胸のあたりをくれないにそめて…。実際は傷を受けて血を流しているのだろうと思うけど、残雪には血は似合わない。そういう言葉にはあわないから“くれない”って言ったんじゃないか。

友樹 …血が出ているんだけど、残雪は頭領だから“血”はダサい。もっとかっこいい言葉で読者に伝えようとしている。

真子 …強い残雪もハヤブサにやられて傷ついた。でも誇りがある。その誇りのように“くれない”という言葉がある。

貴大 …第二の恐ろしい敵がきても、首を持ち上げて大造じいさんを正面からにらんでいる。残雪は、とっても根性がある。他のガンにはとても真似できないことだ。

良  …他のガンにはできないというところ、貴大君と同じ考え。最後がきても逃げ出さず、相手に対して“いかく”しようとしている。

聡志 …ここで、第二の恐ろしい敵と書いてあるが、第二というのは恐ろしさの順番なんかじゃないと思う。

T  …ハヤブサだけでなく、さらに恐ろしい敵ということね。

一浩 …ぼくは、ここの『ぐったりしていました』で思った。あのハヤブサと互角に戦ったからだ。

奏子 …『大造じいさんを正面からにらみつけました』と書いてあるところで、私の予想ですが、じいさんの顔を残雪は見ているというより、「撃つなら撃て!」「殺せ!」―何かそんなふうに死と向き合ってるように思う。

蒼空 …奏子さんの考えにすごく似ている。正面からにらみつける残雪のこと―。何でかというと、残雪は撃たれることはわかっているのだ。いくどもいくどもねらわれていたから! “死”と向き合っている。

博之 …残雪は前の場面では、いかくして、そこには仲間だけでなく自分も助かるというか、そういう気持ちもあったように思うけど、“生きたい!”と言うより、もう体力の限界にきている。心の中は「殺すなら殺せ!」って、そんなふうに思ってるんだと思う。

真子 …残雪は、撃たれることはもうわかってる。その残雪を見て、大造じいさんはちょっと尊敬しているようだ。

良  …奏子さんが“死と向き合っている”と言ったけれど、ぼくもまったくそこまで同じ考えで、さらに大造じいさんの方から見ると、残雪とずっといっしょにたたかってきたから、ライバルみたいなもので、ライバルとして最後迎えたかったんじゃないか。

裕太 …残雪は、ハヤブサとたたかい傷を受け、くたびれている。くたびれているときに撃ったら卑怯だ。だから、ぼくは残雪を殺さないと思う。

                  ※

T  …ここで『ぐっと長い首を持ち上げました』と書いてあるでしょ。ここからは、どんなことが読み取れますか。

貴大 …残雪は、「助けなくたっていい。つかまる…。来るなら来い!」って、そんな気持ちだろう。

博之 …残雪の中に力があって、それが100%だとするなら、90%くらい使っちゃって、その残りで、首を持ちあげたと思う

蒼空 …ぼくは、博之君と似ているけど違う。100%の力を残雪は使っちゃったと思う。使ってしまって、それなしに、長い首を持ち上げていると思う。

奏子 …残雪が首を上げる―。それは、ふつうの言い方だけれど、残雪にとって今、首を持ち上げるのはとっても重い。重すぎてやっと持ち上げているのです。

友樹 …“持ち上げる”って、今の残雪には力がものすごくいるという感じで、すごく重いのです。

真子 …このたたかいで、ふつうの鳥なら死んじゃう。残雪は、今生きているのがやっとなのです。力をふりしぼって大造じいさんに向かっているのです。

                   ※

奏子 …『それは鳥とはいえ』を読むと、鳥なんだけど人間みたいで…、その姿が、態度が、大造じいさんの心を打ったのではないかと思います。

聡志 …『ぐっと…』から読んでいると、残雪には頭領としてのプライドがあるっていうか、そのプライドはそうかんたんにはくずれるものじゃないって言ってるみたいなのです。

蒼空 …この『鳥とはいえ』―。この言い方には、もうふつうの鳥じゃないって言っているのです。

聡志 …『もうじたばたさわぎませんでした』と書いてあるでしょ。あわてたり、死にものぐるいになったりしていないのです。

愛詠 …ふつうの鳥だったら、バタバタと暴れたりする。(残雪は)もう暴れてもむだとわかっているみたいなんです。

博之 …人間と鳥とだったらね、人間の方が当然強いでしょ。でも残雪は、ここでずっと大造じいさんと互角にたたかってきた。鳥なのに、そこに感動しているのです、大造じいさんは!

真子 …この残雪の態度って、すごく誇り高い! それが感動させるのです、大造じいさんを!カラスやハヤブサに頭領がいたとしても、残雪ほどではないのではないか。

友樹 …正面からにらみつける残雪。にらみあって、心打たれている。

                  ※

〚ノートから〛

万智 …大造じいさんのガンを必死で助けようとして、本気でたたかった残雪は、ぐったりして、残りの力があまりないと思う。

有紗 …残雪は体がぼろぼろなのに、残りの力をふりしぼっているのは、頭領としてのプライドがある。

千晴 …『いけんを傷つけまいと』…すごい痛いのをこらえてまでしてる。

江里子 …死ぬくらいなら、せめて頭領らしくかっこよく死にたい。

麗  …仲間を守って、第二の敵に最後の力をふりしぼって…。こんなことは私にはできない。きっと残雪は、強いけれどいつかこんな日が来ると思って仲間を指導していた。

紗希 …たたかいを終えて苦しい思いをして、長い首を持ち上げて大造じいさんをにらんでいた。

かおり …にらみつける残雪!

恵子 …殺されるかもしれない敵が来た。足音がした!

和貴 …もうじたばたしても力が出ない。

龍輝 …残雪は、死ぬのかなあ。

あゆみ …残雪の心。もう悔いはない。みんなありがとう…って。

真季 …にらみつけてるって“いかく”してるのかな。

麗羅 …白と紅の闘い!(ハヤブサとの闘い場面)

物語を読む『大造じいさんとガン』⑥ 2024,7,3ブログ

  『知り知り知り隊スーパーⅤ-1』№170(2004,3,4)号より

《はじめに》   授業中のぼくの問いを問い直す

 子どもたちの発言は鋭い。残雪たちがやってくる餌場の近くに気づかれないように小屋を作ってガンの群れを待つ大造じいさん。猟銃を構え「今か、今か!」と。だが残雪は、そこに昨日と違う様子を見つけて急角度で向きを変え、沼地の西のはしへと飛び去って行く。「ううん」とうなる大造じいさん。

 この様子を、子どもたちは、唖然とする、茫然とする大造じいさんと読む。「さすがだな、残雪」というつぶやきも。さらに、沼地の西の端でゆったりと餌を求めながらバラバラになって泳ぐガンの群れの様子を語る子も。物語の一つの場面が、子どもたちの発言によって絵のように浮かび上がる。

 さらに、続く授業の中で、大造じいさんの心の中にどんな思いが生まれているかを、それぞれが想像しながら発言している。

 さて、授業後半のぼくの発した―大造じいさんはいったい何を見ているのか?―という問いは、果たしてこれでよかったのか、わざわざ問う必要はなかったのか、今回この記録を掲載しながら、ふと考えた。子どもたちはもう十分にこの日の授業の中で、この問いに答えているのではないか。

 それでも子どもたちは、ぼくの発したある意味曖昧な問いに一心に考えてくれて、「頭の中は真っ白なんだ」「空をみている」「しかし、心の中で何か別のものを見ている」「沼地の西の方を見ているんだけど、実際は見ていなくて、見ているものが何か透き通っているような感じ」…そんな発言が返って来た。

 ぼくは、この子たちなら、恐らくこうした読みもできるのではないか―と、そう思いながら問いを発したように思う。物語に描かれた大造じいさんの姿を、より深く“見えない世界”に迫りながら想像する力だといっていい。だけどなと思う。こうした問いに無理があってはならないだろうなと。(2024,7,3記)

 

【授業場面 あらすじ】

 ぬま地に小さな小屋をつくりガンの群れがやってくるのを待つ大造じいさん。翌朝、残雪が仲間をつれてえさ場にやってくる。あと少しで猟銃の玉が届くというところで、残雪は昨日まではなかった小さな小屋に気づき、急角度でぬま地の西のはしへと飛び去って行く。大造じいさんは、広いぬま地のずっと向こうをじっとみつめたまま「ううん」とうなってしまった。

 

残雪のためにしてやられた大造じいさんの心と様子

友樹 …大造じいさんは、広いぬま地の向うをじっとみつめている。ぼうぜんとしているのです。

博之 …ぬま地をじっと見つめながら、あぜんとしている。

T  …茫然、唖然。どちらもピッタリの言葉だね。

良  …この広いぬま地の向こう―、(つまり残雪たちのいるろころは)残雪たちのすみかとなって、基地となって、また来年、また来年と続いていくように思う。

貴大 …大造じいさんは、この広いぬま地を見つめたまま、もう撃つ気力がなくなってしまった。

奏子 …わたしは、ぬま地の向こうをじっと見つめているところですが、大造じいさんはボーッとしていて、「さすがだな、残雪」そんなふうに見つめている。

裕太 …大造じいさんは、ボーッとしていて、ぬま地の向こうを見つめていて、そこにはゆったりとバラバラになってエサをとるガンの群れを見て、もうどれが残雪なのかわからないでいる。

真子 …なんか、大造じいさんの目線は、遠くを見て、未来をみつめているっていうか、また作戦のようなものを考えようとして…。大造じいさんの独特な目をしているのです。

愛詠 …貴大君が(大造じいさんの)気力がなくなっているって言ったけど、弾丸(たま)の届く距離に入っていないってことで、気力がなくなったわけじゃないと思う。

友樹 …今度の件、残雪にやられたことで、気力は確かになくなったかのように見えたとしても、大造じいさんの気力は、どんどんまたあがっていくと思う。

良  …貴大君の(大造じいさんの)気力がなくなったというのは反対。今、大造じいさんの心は、「あいつは頭がいいから、どうやったらいいか」―そんな風に考えているんじゃないか。

蒼空 …ぼくも、気力がなくなったわけじゃないと思う。このときはダメだった…そういう気持ち。

裕太 …ぼくは思うんだけど。初めて負けたみたいに負けを認めるみたいになって、そんな気持ちになって、はじめは強がっていたけど、ちょっとだけ弱気の心も生まれてきて、そんな中で「ううむ」って唸ってしまったんじゃないか。

                   ※

蒼空 …この「ううむ」ですけど、ふつうの声じゃなくて、唸っているんだと思う。

T  …思わずもれてくるようなね!

奏子 …この「ううむ」には、大造じいさんの「負けだ!」とその認める気持ちがあって、「残雪め、勝手にやってろ」って。

一浩 …せっかくタニシを五俵もまいて、だいなしになった…

貴大 …大造じいさんのこの「ううむ」って、感嘆の声で、一枚上手だなって思って、こんどは負けないぞって思ってる。

愛詠 …「さすが、残雪め!」そんなふうに唸って「ううむ。見破られたか」って思ってる。

T  …大造じいさんは「広いぬま地の向こうをじっと見つめたまま…」と書いてあるでしょ。いったい何を見ていると思いますか。

友樹 …何かをみているようなんだけど、頭の中は真っ白じゃないか。

博之 …(大造じいさんの作戦がうまくいかなかった)現実をみている。

良  …空を見ている。つけたして、自分はいったいどこでミスをしたのかって考えて、どうやってそれを克服するか考えているのです。

T  …すごいね。空を見ているようなんだけど、心は別のものを見てるっていうんだ。

奏子 …広いぬま地の向こうを見ているのだけれど、実際は見ていなくて、見ているものが何もかも透き通っているようで、夢の中の世界のようになっているんじゃないか。

真子 …実際は、ぬま地を見ているんだけど、頭の中は、残雪にやられたっていうか、負けたシーンがくり返し繰り返しでてくるの。

蒼空 …この「ううむ」だけど、大造じいさんは、かねて考えていた方法で二つともつぶされちゃう。両方とも一生懸命考えて「うまくいくぞ!」って思った方法なのに、二つとも残雪に見破られて、それでうなっているんです。

真子 …このうなってしまったってこと、もう悲鳴というか、悔しいというか、困り果てて、またまたどうしたらいいかって…。

良  …大造じいさんは、今回の方法で“会心のえみ”をもらしているでしょ。それだけいい作戦だった。それが破られて、どうやったらいいかって…。(それで、ただ唸り声を出して)考えている。

一浩 …“会心のえみ”がもれた作戦、それがダメで。次のことをどう実行しようかって。

 

ノートより

龍輝 …「ううん」―。なんとなく唸ってしまった。

真季 …大造じいさんはこのとき、ポカーンとして、一瞬時間がとまったときのようになった。

恵子 …残雪を見ている大造じいさんは、東側のぬま地のはしに立っていると思う。

あゆみ …「ううむ!やるなあ!なかなか…」って。

かおり …大造じいさんは、がっかりしながらガンの群れの方を見ていたんじゃないか。

紗希 …「ガンはどうしてかからないんだ!」と大造じいさんは思ってあぜんとしているのです。

麗  …作戦が失敗して、「またやられるなんて! はやく戦いに勝ちたい!」

千晴 …大造じいさんは、残雪のいる方をみているのかな。

麗羅 …この唸り声は、考え込むような唸り声。

万智 …あと一歩のところで、ガンが獲れなかった。ぬま地の向こうをジッと見ていた。

有紗 …さっきまでのできごとは何だったんだって、そう考えていた。