夜は星になって、あなたを見守る
―祈りの聖地―
               
2024年1月1日に発生した能登半島地震により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、謹んでお悔やみ申し上げ、
被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
コーラス教室で「千の風になって」を歌っている。発表会に向け、約30名の混声合唱は弾む。
「千の風になって」の原作詩者は不明。作曲、日本語歌詞は新井(あらい) 満(まん)。

♪私のお墓の前で泣かないでください
そこに私はいません。眠ってなんかいません
千の風になって 千の風になって 
あの大きな空を吹きわたっています♪
♪夜は星になって あなたを見守る♪

いつか、すべての人は此処を去り、千の風になる。「千の風になって」を聞きながら、拙文を綴っている。
「千の風になって」は「死と再生の詩」「死者が天国で書いて天国から送り届けてきた返辞」(千の風になって 新井 満著)
 良寛と尼僧の恋「秋花の花の咲く頃」の歌もあり、切なく胸を打つ。

ちる桜 ちらぬ桜も ちる桜    (良寛)
この世のすべては無常だ。生きている者が宿命づけられた儚い命。
愛する者との別れは、必ずやってくる。良寛の辞世の句だ。
能登半島地震、ニュースに胸が締め付けられる。
波乱の2024年がスタートを切った。過去最大の防衛費約8兆円、殺傷兵器の輸出解禁。平和国家日本の理念は大きく揺らでいる。ロシアによるウクライナ侵略、パレスチナの軍事衝突、痛ましい子供、女性、高齢者の犠牲が続いている。

よだれ掛け付けて子育て地蔵さま(のりこ)


南千里駅近くに「地蔵尊」がある。小さな石仏3体が並んでいる。「子育て地蔵 南無阿弥陀仏」と刻まれ掃除が行き届き、供花も美しい。立派な屋根付きの荘厳な雰囲気に満ちた祠だ。石に刻まれた供養の仏。願いを込め奉納され、祀られた供養塔。
祈り継がれた想いの尊さに佇む。善男善女が通りすがりに手を合わせ、神聖な時が流れる。祈る姿は気高く美しい。

西條親来(さいじょうちから)氏撮影(写真参照) 辣腕のカメラが、今を永遠に残した美しい映像、
被写体への温かく深い眼差しを見る。 祈りの後は、同行二人。愁眉を開くのか、笑顔で足取りも軽い。喧騒の中で、静かに手を合わせる祈りの姿をよく見る。




私も、試練の日々を涙と共に祈りを捧げ、苦難を乗り越え、祈りは叶った。
新興都市、政教分離だった千里ニュータウン。パイオニアとしての困難を祈り、乗り越えた人々のモニュメントだ。
お地蔵さまは身近な祈りの場であり、パワースポットになっていて、人々は石仏に想いを祈って来た。



今日も、優しく見守り、内緒話をこっそり聞いている。
人は動物でありながら、動物性を拒否して来た生き物だが、動物と同じ様に食物を摂取し、排泄しないと生き存えられない。しかし、人間だけは他の動物と違った崇高さを持っている。祈りだ。
「仏不在の56億7千万年の間、世を守る地蔵菩薩に、人々は願いを込める。釈迦の入滅後56億7千万年後に弥勒菩薩が現れるまでの間、人々を救うとされる地蔵菩薩。弘法大師空海は、弥勒菩薩とともに説法することを願い入定したという。」(広報 和歌山)                                                               
標高約800メートルに位置する高野山。奥の院の参道には、約20万基の供養塔や墓石が立ち並び、手作りの帽子や前掛けをかけ、参拝者が絶えない。
南千里駅傍のお地蔵さま同様に、地蔵菩薩の神々しさに目を奪われる。この瞬間を生き抜いている私たちだが、ネガティブになる時がある。
「弱きもの人間、欲ふかきものにんげん。偽り多きものにんげん。そして人間のわたし」(にんげんだもの)相田みつお著。
トラブル、災害、不測の事態は、容赦なく襲って来る。先日も、「千の風になって」をCDで、新井満と合唱しながら、星空を仰ぎ、
♪夜は星になってあなたを見守る♪涙なしには歌えなかった。
不安、恐怖に鋭敏に反応する脳の扁桃体は、祈りや、瞑想、歌で、小さくなり、
トラブルに冷静に反応出来ると言う。
お地蔵様に今日も、祈願や報謝を捧げる姿がある。
56億7千万年の時を経ても、不条理な出来事、災難を乗り越えて生き抜こうとする強い意思を身につけた者だけが持っている気高い心を見る。