2021年3月8日、春の陽射しに誘われ、「パソコンなんでも相談室」にお邪魔した。隣町の山田にある施設「西山田ふらっとサロン」にある。文章作成にパソコンを使ってしてみようと思っていた。相談日の開催を情報誌「ふらっとサロン」通信で確かめて出かける。
午後一時、初めてのパソコン教室。汚れた古いパソコンをぶら下げて行き、マウスもない。スイッチの入れ方すら知らずに、図々しく椅子に座る。
講師は北垣享先生。初対面。円熟したシニアだ。周りを和ませる笑顔。ボランティアで教えている。パソコンのいろはから習う。マウスの動かし方もままならない。出来の悪い一年生。当惑させた事だろう。めくるめく時間が流れた。
講師は初心者の私を懇切丁寧に指導する。床に膝を着くようにして、傍らで必死だ。熱意が胸に響く。涙ぐんだ。目的を持った人は知的で若々しくなると感じた。
日本の高齢化は急ピッチで、65歳以上が人口に占める高齢化率は現在29%2040年には35%と予測されている。認知症患者は、2025年には5人に1人と推計されている。介護に至る原因の最多は認知症だ。パソコンは予防効果があると聞く。
吹田市では高齢者が集う社会参加の場は134か所。特に「西山田ふらっとサロン」は活動が際立っている。
「始めることさえ忘れなければ人は老いない」
イスラエルの哲学者マルティン・ブーパー(1879―1965)の言葉だ。人の脳は左と右にあるが、多くの人は60歳でも⒋分の1しか使っていないと言う。新しい挑戦で脳の支配下、手は動く。
人生は儚く短い。今まで使わなかった脳を使い、人生を広げる試練がスタートした。3月8日。忘れられない日となった。
頭の焦点が合わないひと時を胸に抱いて緑地帯を帰った。
「パソコンなんでも相談室」での新しい出会い。操作になれるには時をかさねよう。パソコン一年生は愛唱歌を歌いながら自転車を飛ばす。
♪この広い世界の中で
巡り会えた
振り返ると
微笑みながら
だから
ウイズ ユー スマイル♪



注釈 「with you smile」
(あなたに笑顔を) 作詞 水本 誠・英美  作曲 水本 誠