「枝垂れ梅と謎の落花」

―げにメル友となりにけり― 

 

仕事も、子育ても一段落した世代の生き方は後半の人生を左右する。新しい人間関係は生き方が変わってくる。甘美で新鮮な人生百年のスタートだ。

コロナ禍は第5類へ移行したが何処かで人は繋がりを求めている。百年前のネアンデルタール人の頃から、人は群れて生きてきたのだ。断絶や孤独は人を蝕む。

「黙々と、社会の底辺で生きる人々を通して一時代の歴史を書く。血の通った歴史を再現できるように。自分史は人々の営為の結晶、歴史。主役はあなた」

庶民の視点で記録する近代日本「ある昭和史」で、自分史の一大ブームを作り上げた色川大吉氏(1925にー2021)に触発され、「吹田自分史の会」」に入会して4年。

濃やかに温かく会員に扶けられ、生きてきた拙文を紡いでいる。ラストスパートだ。

「ある日、ある人が、ある場所で、何かをした。そのことだけでも、そこから人は何かを受け取る」「僕が批評家になったわけ」加藤典弘著を読んだ。感覚の個人差は、誰かの心を震わせる。

見果てぬ夢となった記者気取りで、コロナを怖れ、取材のためのメールは欠かさない。

瞬時に届く思い、届けられる人間味滲むメール。友好的外交。コロナ禍が運んできた副産物は多いが、メールは、その代表的なものだろう。

 

「枝垂れ梅と謎の落花」

この写真は2015年3月17日、⒓時半に、京都の「城南宮」で撮影したものです。

枝垂れ梅のほぼ満開時期に訪問し、大勢の見学者の合間を縫って、腰を低くカメラをしっかりと腰に固定し、枝垂れ梅の満開の様子と、しっとりとした緑の芝生と、真っ赤な椿の落ちた花を一つの額の中に収める様に構えて撮影しました。

作品のタイトルは[枝垂れ梅と謎の落花]としました。

タイトルの意味は単純ですが、当時は左記の事を思って名付けました。                  

 

     記

謎1 何故枝垂れ梅の下に椿の花があるのか?

謎2 椿の花は何故、花全体がぽっくりと落ちるのか?

花びらが数枚付いている花は、一般的には花びらがひらひらと散るのが普通ですが、椿は花びらを崩さないまま落下します。

同じ様な花の形状をしている山茶花は花びらがはらはらと一枚ずつバラバラに散って行きます。

以上の様な事を考えながら自然の営みにも、その植物の個性的な意味を持つのだろう。何を意味するのかは私には解りません。

何時も自然の美しさには感動させられます。我々人間を楽しませてくれる自然の美しさと緻密な芸術に驚き感動し、感謝を致します。

これからも人間は地球を守り続けなければならない。

そうすれば自然は何時までも人間を楽しませてくれて、人類を守ってくれるであろう。

 

「枝垂れ梅と謎の落花」。右の文章は、西條親来氏から掲載している写真と共に頂いた心温まるメールである。

高野台慕情47に「夢心地」を、48に「地球温暖化の未来」「さくら」の写真を掲載した。

⒓月⒉日の「写真展」で感動に包まれた写真だ。拙文作成の為、メール交換が始まる。

げにメル友となりにけりだ。

「腰を低くカメラをしっかりと腰に固定し」メールを読んで何度も、微笑みと、真顔が交錯した。

被写体に真摯に向き合う姿があった。 

「夢心地」「地球温暖化の未来」さくら撮影の原点を見る思いがする。

散る桜 残る桜も 散る桜  (良寛)

 

“この世の全ては無常だ。生きとし生けるものが宿命づけられたはかなさ。

いつか誰もがここを去る。”良寛の辞世の句だ。

求めあう人とも別れは、必ずやって来る。

メールと写真は、地球温暖化の未来への思い、哀惜が胸に迫る。

写楽22会長 西條親来氏の卓越したカメラを通して観る者の心に染み入ってくる。

3月23日、春の嵐の中で、高野台水路は桜花爛漫、わが家は花の館になり、4月3日

花吹雪が舞い、生きる事の無常と、意味を切なく問いかけて来る。

紙飛行機が瞬時に交流を繋ぐメールは、手軽なコミュニケーションツールになった。

「2009年ビジネスメール実態調査」では「周囲とのコミュニケーションを取る方法」では

「パソコンでメールをする」が78・8%でトップ、「手紙を書く」は3・5%だ。

メールっていいな。

心が春になる。

 

「何時も自然の営みの美しさには感動させられます。我々人間を楽しませてくれる自然

の美しさと緻密な芸術に驚き感動し、感謝を致します。

これからも人間は、地球を守り続けなければならない。

そうすれば自然は、何時までも人間を楽しませてくれて、人類を守ってくれるであろう」

 

高野台水路の真紅の椿、ピンクの山茶花が落下始めた。儚く、美しい。

「枝垂れ梅と謎の落花」後半のメールを、忘れ難く、再び、パソコンに入力している。

自然の営みへの慈しみと、敬意に満ちた祈りのような3月⒕日のメールを。