「夢心地」
―魅せられてー
⒓月2日「千里ニュータウンプラザ」2階で「第22回 南千里ロビー展」の写真展が開催されていた。
主催は「写楽22」と、「花とみどりの情報センー」。
協賛は「写真クラブ十人十色」。
合計28名により、展示作品数は42だ。
多くの人が足を運んでいる。
生命の輝きを瞬時に捉え、とこしえまで残す写真。
見つめていると撮影者の被写体に向き合う姿勢や、考えまで見えてくる。
一枚の写真の前で、釘付けになった。鮮烈な感覚。立ち去りがたい。
純白のダリアが、周りを緑色にくるまれている。
「夢心地」。テーマのまま、胸に迫ってくる。
偶々会場にいた担当の男性に、声をかけてしまった。
「お写真はどれですか」。
丁寧な対応の、円熟したシニアだ。瞬間、稲妻が全身を走った。
「夢心地」。私が立ち尽くしていた写真だ。
夢心地 |
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「川西市」 |
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西條親来 |
「コピーはないでしょうか。」素人丸出しの質問をする私。勿論ない。
担当の男性は、「写真展が終わったらこれを差し上げましょう」。
それはダメ。「いえ、それは」思わず、のけぞりそうになる。
こんなに素晴らしい宝石のような写真。撮影場所は川西市と書いてある。
撮影者にとって記念すべき貴重品だ。しかし、チャンスを逃がしたくない。「これをちょっとお借りしてコピーさせていただいてもよろしいでしょうか」。すぐ傍でコピー出来る。再び愚問を発して、愕然となった。
振り向くと、「夢心地」の前に人の姿。一瞬でも外せない。
「お届けしましょう」30㎝程頭上からの声。呆然自失。
その夜、眠れなかった。
夢心地のまま、再会の夢は、遂に叶った。「夢心地」が大切に郵送されてきたのだ。
私は、何と、高貴な贈り物をいただいたのだろう。
拙文に残したい。
如月の、芯から寒い空の色。高野台水路沿いで至福の時間が流れている。
緑色の葉を揺り篭に、夢心地にまどろむダリア。「揺り篭のうた」を歌う。
♪ねんねこ ねんねこ ねんねこよ♪(作詞 北原白秋 作曲 草川信)
秋。喜びに満ちた花々のステージ「絢爛とダリア輝くとき来たる」(憲子)
優れた撮影者によって、とこしえまで、清らかに、美しい姿を留めたダリア。平和な日々への祈りを見る。
21世紀最悪となった猛威を振るう新型コロナウイルス感染症。挙国マスク。第8波。パンデミックとなり、迫りくる4年目の凄惨な災禍。
2022年2月24日、ロシア軍によるウクライナ侵略。連日続く大量殺戮。
2022年7月8日、安倍晋三元総理の暗殺。
2023年1月過去最大に膨張する防衛費。
「撃たれる前に撃て」安保3文書。押し寄せる物価高。連続強盗殺人事件。
写真展は、荊棘の世相に生きる人々の息遣いを映像に刻み、力作揃いだった。次回の写真展が待たれる。
写真は文字を超え、言葉を超える。
命の限りひとときを咲き、美しく純白にまどろむダリアの前で、撮影者は、 どんな思いを託したのだろう。メールで聞いてみた。
「ダリアは精一杯、美しく咲いているのに、隣のダリアの葉っぱで隠されて、表舞台に出られなく悔しそうであるが、少しだけ覗いている姿がいじらしく、でもそれを満足として居眠りをしているようであった。
キット楽しい夢を見ているのだろうと想像して「夢心地」と名付けた。」
撮影した西條親来氏は、写真展の主催者で、「写楽22」の代表だった。
西條氏によると、「撮影日時は、2022年10月16日 ⒓時⒓分
天候 晴天、無風、やや乾燥状態。気温23から25度
「黒川ダリア園」には毎年(6年連続)通っています。
黒川ダリア園の担当者は毎年素晴らしいダリアを咲かせてくれます。
一見の価値ありです。」とある。
♪ねんねこよ♪ ダリアと頬を 夢心地に寄す 小夜更けて(憲子)
平和にまどろむ秋の妖精ダリア。⒓月2日の「写真展」を愛おしく思い出し
一年に及ぶ戦乱の中にあるウクライナの人々や、花々に、想いを馳せ、祈る。
🌼「夢心地」のダリア名は「ゆきちゃん」。愛する人の名前だろう。
花言葉は感謝。豊かな愛情。令和3年導入の新品種だ。「黒川ダリヤ園」は
3万種を超えるダリアがあり、毎年、新しい品種が誕生している