春は、灰色がかった、やわらかい青空。
夏になると、そのやわらかいベールがもくもくと集まりだし、綿菓子のような真っ白い雲と、真っ青な空の、目にもまぶしいコントラスト。
その綿菓子のような白い雲が、涼しくなると共に、空一面に散り始め、再び空は、穏やかさを取り戻す。
そして、涼しさが寒さに変わる頃、散り散りになっていた白い雲は、いつの間にか姿を消し、空一面に、澄みきった青が広がる。
長い冬を越え、寒さが和らいでくると、空はまた、やわらかいベールをまとい始める…。
先日、都内の建物に囲まれた一角でタバコを吸っていた時、ある人が言った言葉。
「でも、タバコを吸ってなかったら、こんなに空を見上げることもなかったよね。」
その時は、「確かに。」という程度にしか思わなかったけど、なぜか、日が経つ毎に、その言葉が心に強く響いてきます。
タバコを吸っている時間。
その間だけは、時間がゆっくり流れているような気がします。
だから、何かに追われていると、タバコを吸いたくなってしまうのかもしれない。
そして、なぜかタバコを吸っていると、1人であれば、必ずと言ってもいい程、空を見上げてしまいます。
それは、無機質な物に囲まれ、季節の移り変わりさえ忘れてしまう日常で、そのひと時だけでも、季節の移り変わりを感じたいのかもしれない。
そして、いつでも変わらず大らかに広がる空に、自分の心を解き放ちたいのだと思います。
明日からまた、空を見上げながらタバコを吸っている時は、きっと、あの日見た、白い建物の間から見えた青い空と、その人の言葉を思い出していると思います。
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