黒兎さんのイラストの妄想話



高校に入り二回目の秋。寒くなってきたのであちこちでセーターを着始めて登校する学生たち。

そんな中で1人、セーターではなくパーカーを着込んで学校へと向かう学生がいた。

 

「ちょっと志保?パーカーは着てはダメって何回言えばわかるの?」

「・・・はぁ・・・朝からうるさいわよ」

着ているのが志保

それを注意したのが静香

校則上、指定のセーターがあるのでそれを着るのがこの学校のルール

でも「何回」と言った通り常習犯。ただずっと着ているわけではなく教室に入れば暖かいのですぐに脱いでしまう

登校時だからいいだろな考えの犯人とそれすら許さない委員長。

 

そう、注意したのはクラスの委員長。しかも2年の付き合い

去年もこんなやり取りしてたっけ。その時はシカトさてたから今みたいに反応あるだけマシかなとか

色々想いを巡らせてしまったせいで志保を見失ってしまった。

(これで他は優秀なんだから嫌味よね・・・)

勉学にしても運動にしてもこの二人はいつもいい勝負をする
所謂、優等生という立ち位置
違うのはこういった生活態度のような所
そういう部分もきちんとして欲しくて世話を焼いているのだが・・・当の本人は知らぬ存ぜぬ
 

ガラガラガラ・・・

 

見失ったせいで志保より後に教室に入ってきた委員長

(もう脱いでるし・・・)

これでは言っても仕方ないかなと判断。人がいなくなる放課後にしようと決意する。

なんだかいつも以上に意識してしまっている。おかしいな。

 

そして放課後ー

 

「志保まって」

「なに?急いでるんだけど」

鞄にノートやら詰めてさて帰ろうとしたところで委員長に止められた志保

「去年も今年も言ってるけど・・・「はいはい。明日は着ないわ。これでいい?」

「どうしてそういう・・・ちょっと!?」

バッと立ち上がって静香を押しのけて教室を出ようとした。

ただ不思議と志保を腕をつかんでいた。

 

「・・・なによ?そんなに信じられないの?」

「あ、っとその・・・」

シュンとなった彼女の手を弾いてネクタイを掴んで自分のほうへ引き寄せる

「私こう見えて忙しいの。ほんと邪魔しないで」

「・・・」

鼻がぶつかりそうになるほど近くなって初めて気づいた

綺麗な目。艶やかな肌。そしていい匂い。

イライラしているとはっきり分かるその表情すら美しい。

 

なんだろう・・・ドキドキする。

 

あんな顔を見たから?

 

近すぎる距離で見たから?

 

話しかける前より明らかに体温が上がり脈も速くなったのは嫌でも分かった。

まずい。周りに誰か?!・・・いない。

安心すると同じに志保の姿はもうなかった。

 

(なんなのよ・・・)

「すみません、遅くなりました。すぐ準備します」

「まだ時間前だけどがんばりなさい」

「はい!」

放課後に向かった先はアイドル養成所

こうして学校のあとはアイドル業。

ただ1つだけ問題があった、志保にしか知らない問題

静香と同じ養成所にいる、たまたま見かけたが向こうは気づいてなかった

1人で過ごすことが学校でもここでも多い志保に対して

静香は自然と輪の中心になることが多い

やはり養成所でも中心軸になっている場面を見て苛立ちを覚えたのは最近のことではなかった

 

運よくと言おうかグループが別なので会うことはない

なので気が楽でいいのだが今日は少し違った

バタン。

ステップの途中でコケてしまった

「北沢さん!集中して!」

「・・・はい!」

珍しく今日は空回り

(・・・チッ)

2年の付き合いで今日も今日とて朝から絡まれ、挙句帰りも絡まれ

志保の調子が狂いに狂っていた。

それでも無理やりにペースを戻しなんとか今日の練習を終え、帰り支度も済ませ

帰ろうとしたとき。

別の部屋で1人で練習している静香を見かけた。

黙々と振り付けの練習をしている、こちらなど気づく暇もないだろう。それほど集中していた

 

(私もまざ・・・いやいや。じゃれあうなんて!何考えてるの)

元居た部屋で練習もいいが見られても嫌だしかといって一緒に練習などそれも嫌。

なにより気疲れしたので今日は早めに休みたいのが本音でもあったので見て見ぬふりをしてその場を後にした・・・。

 

 

「おはよう志保。今度はジャージ?ほんと嫌がらせね・・・」

「学校指定のだし別に文句はないはずよ?」

スカートにジャージという寒がりな人がやることを今日はやってきた

パーカーは約束通り着ていない。

「そうだけど・・・」

「じゃ私の勝ちね」

そういうと足早に消えていった

少し不自然な歩き方以外はいつもとなんら変わらないのを後ろからただ眺めるだけだった

(何か隠してるのかな・・・)

 

ここで余計なお節介といおうかついつい何かしたくなってしまう病気が出てしまう

1日通して一向に脱ごうとしない志保に

「パーカーよりはジャージなんて薄いけどそれでも暑くないの?」

「・・・関係ないでしょ。邪魔しないでって言ったじゃない」

「そうね。でも何もしてないし邪魔だと思わなかったから話しかけたの。志保何か隠してるでしょ?朝、歩き方が少しぎこちなかったわ」

「・・・」

「図星?なら私の勝ちってことでいいかしら?」

 

普段通り歩いてたはずなのに。

昨日コケたばっかりに足を痛めてしまった、擦り傷もあったので絆創膏をしてそれを見られたくないからジャージ。

絆創膏は気づいてないにしても歩き方を指摘されるなんて

またイライラしてしまう。

でもそれだけ意識しているのもまた事実な訳で。

 

(ほんと調子狂うな・・・)

(・・・なんで志保ばっか構っちゃうんだろう・・・)