ソフトバンクの秋季キャンプで臨時コーチを務めた武田一浩氏が、ブルペンを視察中に思わず足を止めた。背番号65の右腕に目を奪われたのだ。
「まるで(川上)憲伸のような下半身をしている。昭和の太ももだな」
日米通算120勝右腕の名前を引き合いに出されるほどの高評価を受けたのは、高卒1年目のシーズンを終えたばかりの下沖勇樹(しもおき・ゆうき)である。
昨秋のドラフト3巡目で光星学院から入団。ルーキーイヤーの成績は、二軍戦で11試合に登板し2勝1敗1セーブ、防御率5.84と平凡な数字に終わった。にもかかわらず、シーズン半ばの6月には12球団の高卒新人投手一番乗りで一軍昇格を果たしている。
今季ソフトバンクは、同じく高卒新人の今宮健太(明豊)も一軍に2度昇格。それについて首脳陣は“体験入学”みたいなものと説明したが、下沖のケースは違うという。結果的にはわずか1週間の一軍生活で登板なしに終わったが、高山郁夫一軍投手コーチは戦力のひとりとして計算していたと話した。
めったに選手を褒めない鳥越裕介二軍監督も、「投げっぷりが素晴らしい」と、下沖への評価は高かった。躍動感のあるフォームから140キロ台後半のストレートを投げ込み、スライダーもよく曲がる。ピッチングスタイルは、ソフトバンクの先輩にあたる新垣渚を彷彿させる。
そしてこの秋、下沖の投球が本格的に一軍首脳陣の目に留まった。11月8日、アジア大会日本代表チームとの練習試合に先発して5回2安打1失点と好投。翌日には秋季キャンプB組からA組に昇格。秋山幸二監督は「チャンスはいくらでもある」と奮起を促した。
今季、7年ぶりのリーグ制覇を果たしたソフトバンクだが、先発のコマ不足は通年の課題だった。特に右投手不足は深刻で、日本人の先発右投手の白星はわずか3勝という有り様だった。来季、連覇を達成するためには投手陣からの新戦力の台頭が必至。今オフにプエルトリコのウインターリーグに派遣されている大場翔太と岩嵜翔に加えて、この下沖が来季の先発陣サバイバルに名乗り出てくれなければ困るのだ。
下沖自身も、来季に賭ける思いは強い。
「正直、1年目はもの足りなかった。だって同じ高卒ルーキーで一軍で勝った選手がいますからね。阪神の秋山(拓巳)は4勝でしょ。日本ハムの中村(勝)も勝った。僕は一軍登録だけで投げていない。来季、まずは1試合、そして1勝を必ず達成します」
同級生には絶対に負けたくないという。ところで、入団時には雄星(西武)の名前をよく口にしていた。同じ岩手県出身で、高校時代にも2度投げ合った旧知の仲である。
「最初は雄星のことばかり気にしていました。でも、今は同級生全員がライバルだと思っています」
この冬は地元に帰り、「雪の上を走って下半身を鍛えてきます」と力を込めた。ひと冬越えた頃にはメジャー級の太ももがさらに進化を遂げる。
ホールトンが名簿から外れるようで、実質先発右腕はいなくなりました・・・
新垣に復活の気配はありますが、仮に復活しても多くは望めないですし
大場・岩嵜・巽もいまひとつ殻を敗れていない状況です
ただ、今年は育成から山田がある程度の結果を残しました
阪神の秋山も2軍がかなり良かったわけではなく、先発の駒不足からの昇格でしたし
そういう意味ではとりあえず上で使ってみるというのもアリなんだと思います
そのチャンスが下沖なのかは分かりませんが、川原と共に期待出来る投手なのは間違いありません
野手の方は出るチャンスは無さそうですが、投手はどんどん使ってもらいたいですね