担当記者を引き連れての帰りの通路でもアピールは続いていた。「なんでこんな(報道陣)多いねん…。証拠、見せよか?」。ガサゴソとあさってトートバッグから取り出したA4の紙。印刷されていたのは6回の第2打席、球団カメラマンが撮っていた4コマの連続写真だ。「ほらな! 当たってるやろ」。ニッと笑った的山が、局面を打開した?ワンプレーの正当性を主張した。

 先頭の中西が中前打で出た後で“事件”は起きた。バントを2度ファウルしてしまっての4球目。内角低めへのチェンジアップが、ボックスの白線ぎりぎりまで出していた右足つま先に当たったと主張した。スパイクにレッグウオーマー、ソックスまで脱いで白井球審の前に座り込んだ。

 テレビのスロー映像でも確認は難しい1球。結局、主張は認められずボール判定となった。「(右足親指が)赤くなってなかったんや…。汗でふやけて、白くなってた。まあ審判も見にくいところやからな」。当たっていなくとも際どい内角球を死球とアピールすることで知られた、広島往年の名捕手・達川光男氏ばりの執念が白球に乗り移った。続く5球目を投前に転がすと那須野が一塁へ悪送球して無死一、二塁。解説で来場していた同氏の目前での猛抗議が逆転劇を呼び込んだ。

■守りでも魅せた!

 「あれ(死球のアピール)で余計に流れが来たね」。含み笑いで振り返った王監督は、本業での抜かりなさも評価した。「大きかった。もともと肩はいいし、素早いもの」。直前のけん制だ。

 内川を敬遠気味に歩かせ一、二塁とした6回2死。村田が空振りした際に飛び出した二走野中を見逃さず刺した。近鉄時代から球界随一と評される捕球から送球へ移る速さ。「技術的なものはいろいろある」そうだが「手が小さいから握りなおさんでエエんよ」。一般人と変わらない手の大きさを利し、息の長いプロ生活の糧にしている。

 右ひざの状態が思わしくなく前日13日の全体練習はキャンセルしたが、フル出場で杉内の完投勝利を導いた。「今日は杉内のナイスピッチングや!」。チーム最年長37歳は珍しく冗舌に球場を後にした。
実際タイムリーでこの場面を見ていないのが残念ですが
賛否両論だとは思いますが、勝利への執念をもっと見せて欲しいですよね
格好良いとか格好悪いとか見た目を気にするより
勝敗を気にして欲しいです