10月5日、ホークスはヤフードームでの西武戦をもってレギュラーシーズンの144試合を戦い終える。順位は10月3日の千葉ロッテ戦(千葉マリン)に敗れて3位と決定した。そこまでの成績が73勝65敗5分。シーズン開幕前には「100勝する!」と鼻息の荒かったチームとしては、なんとも寂しい数字となってしまった。
 敗因は何だったのか。真っ先に考えられるのは故障者の多さだ。今季のそれは異常だった。開幕早々から川崎宗則や斉藤和巳が故障で一軍登録を外れた。その後も「負の連鎖」は止まらず、シーズン終盤には小久保裕紀や松中信彦も戦線を離脱した。今季の開幕スタメンのうちシーズンを通して一軍に定着できたのは、多村仁と柴原洋、本多雄一の3人しかいないのだ。それでも多村は10試合以上欠場しており、実質的には141試合出場した本多のみといっていい。王貞治監督も「ことしはそういう年だから」と何度も嘆いた。

 そして、王監督はこうも話していた。
「これが2007年型のホークスだよ」
 それが最大の敗因だ。2007年のホークスは、戦う形をつくれずに1シーズンを終えてしまったのだ。12球団最強といわれた先発投手陣もクリーンアップも、さらには上位打線や中継ぎ陣も「形」は見えないままだった。唯一、パ・リーグのセーブ王を獲得した馬原孝浩の「抑え」という仕事だけが、一年間貫き通したホークスの戦い方だった。
 抜群の戦力を整えても個々人の能力だけでは勝てないのが野球。それをあらためて知ったシーズンだった。

原点回帰で日本一へ

 しかし、ここで終わりではない。8日からクライマックスシリーズが開幕する。今季、ホークスナインの誰もが胸にした「王監督を胴上げする」という夢はまだつながっている。とはいえ、シーズン終盤のホークスを見る限り、このままでは勝ち抜くのは難しいだろう。「戦い方」を確立する必要がある。
 以前も書いたが、このようなときは「原点回帰」である。それぞれのチームの戦い方は開幕オーダーを見れば明らかだ。今季のホークスは、大村直之と川崎という出塁率の高い2人が塁上をにぎわせて、12球団最強のクリーンアップである多村、松中、小久保がかえす。さらに下位打線にも柴原やブキャナンという勝負強さと一発を兼ね備えた選手を並べ、9番・本多がまたチャンスをつくる。そんな戦い方を理想としていた。そしてエースはやはり斉藤和だ。

 5日の最終戦で松中が一軍復帰するなど、ここにきてメンバーがそろいつつある。開幕時のオーダーを組むのも可能な状況になってきた。「100勝する」と夢見たオーダーを今こそ見せてほしい。日本一への夢は確かにつながるはずだ。