思いを詰め込んだ1球だった。全ウの先発、甲藤が投じた初球。113キロのカーブに高口(日本ハム)は手が出ない。「場の雰囲気として初球は直球だと思った。確かにこの試合に限れば直球勝負でもよかったけど、上(1軍)を狙う以上、自分のスタイルでいきました」。球宴のお祭りムードなんか関係ない。2球目もカーブでカウント2-0で追い込み、最後は143キロの直球で二飛に仕留めた。

 1回2死で下園(湘南)に四球を与えたが、続く角中(ロッテ)を125キロのフォークで空振り三振に仕留めた。MAX145キロの直球に、最も遅い112キロのカーブと33キロの緩急をつけ、タイミングを外した。2回を無安打無失点。32球で勝利投手となり、優秀選手賞を獲得した。

 脳裏に占めたのは「1軍昇格」の4文字だ。「MVP? 結果的に取ったらいいけど、まずは(1軍に)呼ばれるようにするだけ」。未来のスター候補が集うフレッシュ球宴も1軍へのアピールの場としか映らなかった。目標まで半歩手前の右腕として、この絶好機を逃したくはなかった。

 16日の日本ハム戦でプロ初先発する予定だったが台風4号が接近し、前カードのロッテ戦2試合が中止。先発枠が埋まったため、出場登録もされずに福岡に戻った。とはいえ、8月は6連戦が3週続く。王監督も「先発の頭数がほしい」と話しており、2年目右腕にもチャンスだ。

 きょう20日は休養日のため、愛媛県に隣接する高知県内の実家に帰省する予定。今回は家族を招待しなかったが「いいお土産ができました。(賞金の)50万円? 何かプレゼントします」。もちろん、晴れ姿のお披露目は1軍のマウンド。その日は刻一刻と近づいているといっていい。
1軍をすでに経験している選手が多く出た今年のフレッシュオールスター
その選手たちにとってはオールスターという場でも、1軍を意識して・・・
期待されている選手が出てくるので、ファンとしても1軍での活躍を楽しみにしているので
後半戦に出番があるはずなので、そのチャンスをしっかりつかんで欲しいです