まばゆいばかりの超新星・楽天田中が屈辱のプロ初登板をベンチでかみしめていたとき、思わぬ白星を手にしたのはソフトバンク山村だった。プロ7年目にして夢にまで見たプロ初勝利。劇的な幕切れに山村はロッカー室で号泣した。
 「たぶん、今のプロ野球選手の中で一番僕の体がメスが入っているでしょう」。苦難の6年間だった。右腕だけで7カ所の手術あとが残る。文字通りケガとの闘いだった。豪腕の鳴り物入りで入団した右腕は計200針にも及ぶ縫いあととともにプロ野球人生を紡いできた。ここ数年は「クビ」の2文字も山村を追いかけた。
 サヨナラ劇に沸くロッカー室で選手を激励した角田代表は言った。「山村はこの3年くらい“その覚悟”だったからね。でも、今年はやると思ったよ」。
 打者1人も打ち取らずメモリアル勝利を手にした。最後に山村は言った。
 「次回は自分が抑えて勝ちます。今日はみなさんのおかげですから」。ようやく山村のプロ人生もスタートした。
初勝利だったので、山村にもお立ち台に上がってほしかったですが
それは次回、自らの投球で勝星を手にした時まで待ってましょう
きっと、そんなに遠くないと思います
その時は、一緒にみんなで泣きましょう