プロ野球の西武スカウトによる現金供与問題で、総額約1000万円を受け取っていた早大野球部野手の父親(59)は10日午前、毎日新聞の取材に応じ、西武のスカウトが中学時代から注目し、大学進学時に供与を持ちかけてきたことを明らかにした。一方、会見で「入団することを名目にしたお金だと思っていた」と話した東京ガスの木村雄太投手(21)側には高校在学時から現金が渡っていた。有望選手の将来を「カネで買う」球界の体質があらためて浮き彫りになった。【藤原崇志、大矢伸一】

 父親は「奨学金のつもりで受け取った」と現金授受の事実を認め、「西武と契約したら契約金から返す約束だった。こんなことになって子どもがかわいそうだ。西武に怒りを感じる」と語った。
 父親によると、選手は中学時代から西武のスカウトに注目され、高校卒業後に「うちに来ないか」とドラフト指名を打診された。しかし、父親は「野球をやめた時のことも考えたほうがいい」と大学に進学させることにした。当初、学費が免除になる特待制度で別の私立大学に進学するつもりだった。しかし、早大野球部からも誘いを受けたため、西武に相談したところ「お金は出しましょう」と言われた。4年後に西武と入団契約した時に、契約金から天引きする契約だったという。
 入学時から、入学金と学費として毎月20万円ずつ受け取ったが、05年10月、まとめて残金500万円を受け取った。今年1月下旬、西武から連絡があり、球団のスカウト部長と面談。部長は「社長が交代して方針が変わった。息子さんを獲得できなくなった。こちらの契約違反なので、返金してもらわなくていい」と謝罪したという。
 9日午後5時ごろ、西武から「社長が会見を開く。大変なことになって申し訳ない」と言われた。父親は「一場選手とはお金の意味が違う。あくまで借りたつもりだった。別の私立大学に行っておけば、こんなことにならなかった。息子を躍らせた西武は許せない」と話した。
 東京ガスの木村投手は会見で「いけないこととはすごく分かっていたが、家計がきつい状況と聞いていましたから、少しでも助けになればと思った」と、顔をこわ張らせながら声をしぼり出した。

 木村投手や蛭間泰弘野球部長によると、西武側からの金銭供与は、木村投手が秋田経法大付高3年の04年1月から、毎月30万円が母親(04年10月死去)の口座に振り込まれたり、母親に直接手渡されていた。木村投手は03年秋ごろに西武側から金銭供与されることを知ったという。
 金銭の名目について西武側から説明があったかと聞かれると、木村投手は「なかったとは言えない。(3年後に)入団することを名目にしたお金だと思った」と答えた。西武側に断る気持ちはなかったのかと追及されると、「自分の中で悩みましたが、母親が少しでも喜んでくれるならと親を思う気持ちの方が強かった。金額を調べたうえで、球団に返却したい」と唇をかみしめた。
 木村投手は04年6月に監督を通じて西武側に金銭供与をやめるよう申し入れをしたが、「詳しいことは調査中だが、04年9月まで供与を続いていたようだ」と蛭間部長。一場問題が表面化したのは、西武側に申し入れをした直後の04年8月。木村投手は「あんなにも大きく報道されていたので、僕も悪いことをしているのだと分かった。もっと早く分かっていれば……」と無念そうに話すのがやっとだった。
 昨秋のドラフト会議では横浜から3巡目指名されたが入団を断った。「プロ入りしたい気持ちはあるか」との問いには「そのように思っています」と小さな声で答えた。 
西武が行った行為で、2人の野球だけでない人生が狂ったとすれば大きな問題です
コメントを見る限り、どちらも安易に行動してるのが残念ですね
この問題、これ以上大事にならない事を祈りたいですね
他球団にも同じような事があったとしたら、悲しいです
選手の人生を金で買うなんて・・・
西武のスカウトには定評があっただけに本当に残念です