ドクター・リーが「顎関節は人体でもっとも重要な関節」と主張する真意は、
顎関節が頭蓋骨とともに人体のてっぺんに位置しているため、その下に続く頸椎・
胸椎・腰椎・骨盤など骨格全体に大きな影響を与えるからです。
顎関節がわずか100分の1ミリずれたことにより、脊椎に影響をおよぼすと
いわれます。
次は、咬み合わせの不具合でからだがゆがんでしまった男の子のケースです。
キムくん
10代・男性
2010年にドクター・リーのクリニックを訪れたキムくんは、当時小学
校5年生。
上の前歯が下の前歯にかぶさっているディープバイト(過蓋咬合)、いわ
ゆる「出っ歯」の症状がみられ、下の前歯はまったく見えない状態でした。
ディープバイトの方の多くはのどの部分が狭く呼吸がしづらいため、口で
呼吸することがクセになり、就寝中にはイビキをかきやすいことも特徴です。
睡眠障害により日中でも眠気に襲われ、子どもの場合は学業不振につなが
ることも少なくありません。また、頭部が前方へかたよりやすく「猫背」に
なりがちです。
キムくんは、重い頭部を支える脊椎(背骨)が曲がってしまっているため、
頭蓋骨の重心が真ん中からずれ、ますます背骨の変形を招いていました。
その結果、頭痛やめまいなど、原因不明のさまざまな症状が表れていたの
です。
ドクター・リーは、まず咬み合わせを矯正する治療として、OBAという咬合
均衡装置(マウスピースの一種)を用いました。
キムくんには、就寝時と、日中は2時間おきに装着するよう指導したのです。
その結果、約3ヶ月後には極端なディープバイト、つまり出っ歯がもとの位置
に戻り、正常な歯並びに変わりました。
キムくんは引き続き施術を受け続け、23回目を迎えた約1年後に、正しい姿勢
を取り戻したとして治療を終えました。
非対称だった顔はバランスが取れて表情も変わり、脊柱が正常なS字カーブと
なったことで身長もグンと伸びました。
頭痛やめまいなどの症状は、3ヶ月が経ったころにはすでに解消されていたと
いいます。
背骨のゆがみのもととなるのは、首の骨のゆがみであり、首の骨のゆがみは、
顎の骨のズレによって生じます。
その因果関係をいち早く解明し、難病を見事に解決しているドクター・リーは、
次のように述べています。
「顎の位置を正常に戻すことで姿勢が正され、からだ全体のバランスを取り戻
す。それによって自己治癒力を高め、いかなる症状も改善することができる」と。
実際に、長年悩まされてきた私の飛蚊症と眼精疲労も、ドクター・リーによる
一度の施術で解消しました。
同様に、高輪クリニックのスタッフもぎっくり腰が一度の施術で解消し、その
後の腰痛再発はありません。
とはいえ、当然ながら骨格のゆがみ方は人それぞれ違うため、もとの状態を取
り戻すのに時間がかかるケースもあるでしょう。
いずれの場合でも、完治するまでの道筋を患者さんに示すことができる点は、
体系的に確立されたFCST療法ならではの特徴といえます。
顎関節の位置や咬み合わせを正すには、ふだんどのようなことに注意すればよ
いか、患者さんへの具体的な指導が行われるのです。
病の原因はどこにあるのか。
長年の研鑽によって発見したドクター・リーの治療理念は非常にシンプルです。
顎関節と首との位置関係がバランスを崩し、神経伝達を阻害している。
その原因を取りのぞけば脳内システムエラーが解消し、からだはもとどおりに
なります。
人体とは、脳をはじめとする五臓六腑に、神経系・リンパ系・呼吸器系・血管
系・内分泌系・筋肉系などの機能が絶妙にからみあった「小さな宇宙」と表現で
きます。
すべてが有機的に機能しながらひとつの生命体をなしているのです。
このようなドクター・リーの主張は明快であり、原因不明の病気に悩む人にとっ
ての光明となることでしょう。
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