私が仕事の公休日に、お互いの中間地点である場所の公共施設の会議室を借りて

(このレンタル代は私持ち)話し合いの場を設けることにした。

今回の話し合いにも私が条件を出した。

 

それは、お互い弁護士のみ連れてくる事。

 

離婚調停のような騒ぎは勘弁だし、【自分の事なんだから親とかいつまでも頼ってんなよ】という私のメッセージも込めていた。

 

私が稼いでいるよりも金があるんだし、弁護士さんなんて何人も依頼できるでしょ。

 

そう思っていたんだけど…。

 

会議室に入ってきたのは、まさかの元・夫一人だけ。

 

え?お得意の弁護士はどうしたの?

 

私が内心驚いた顔で見ていると、元・夫は不満そうな目で私を睨みつけてきた。

そして席に座ると早々に口を開いた。

「今回の養育費の話なんだけど、一括では支払いができないから月々で払っていきたいって言ってるんだけど、どうしてわかってくれないの?」

私は弁護士さんに話を任せていたので返答はせず、ただ黙って元・夫を見ていた。

「それに関しては、以前もお話ししましたよね。月1万円で支払いをしていくと調停で決まっているのにも関わらず、あなたは16年間支払いをしてこなかった。今更信じられますか?」

「だからって、240万円を一括で支払いができる訳じゃない!」

「そうですか…。では、あなたがお持ちの物を処分して支払いを行うって事は考えないんですか?」

「俺には、そんな金になる様なものは持ってない。」

「私たちは、あなたの財産を確認させていただいたんですが。車とバイクを所有していますよね。」

「どっちも古いものだから金にはならないだろ。通勤に使っている物だから処分したら、どうやって通勤しろっていうんだ?」

「あなたのお住まいの団地には、5分間隔でバスが乗り入れてますよね。それで通勤されるのは考えないんですか?」

「なんで、俺がそんな大変な思いをして通勤しないといけないんだ?」

自分勝手なんだなあ…相変わらず。

呆れながら小さくため息をつくと、その行動が気に食わなくなったんだろう。

元。夫は座っていた椅子を後ろに跳ね飛ばしながら立ち上がり

「おい!お前、借金取りみたいな事しやがって!黙ってないでなんか言ったらどうなんだ!」

思い通りにならなくなったら、大声で威嚇する。

 

結婚していた時と全く変わらない。

それでも私は言葉を発する事なく、ただ黙って元・夫を見つめた。

大声をあげた元・夫に弁護士さんが

「話を逸らさないでいただきたい。あなたと今話をしているのは私です。」

とキツくさっきまでとは違い、声を張り上げた。