絶滅危惧種の動物、例えばクロサイですが、保護している民間の団体にお金を払えば
クロサイを撃ち殺す権利が得られることはご存じでしょうか。
もちろん数が減らないように撃ち殺せる数は決まっています。
そして保護している民間の団体にも経済的利益が生まれ、現在クロサイの数は回復しはじめています。
セイウチもそうです。
1982年、数が減りすぎたセイウチを保護するためカナダ政府は先住民イヌイットのためのわずかな例外を除いてセイウチ漁を禁止しました。
そして1990年代、イヌイットの指導者たちはイヌイットに割り与えらえたセイウチを殺す権利の一部を、大物ハンターに売らせてほしいとカナダ政府に提案を持ちかけます。
殺させるセイウチの数は変わらない。
イヌイットはハンティング料を取り、トロフィーハンターのガイドを務め、獲物を仕留めるのを監督し、従来通り肉と皮を保存する。このシステムを使えば、現在の割当頭数はそのままで、貧しいコミュニティーの経済的福祉が改善されるはずだ、とカナダ政府はそれを了承しました。
いまでは、世界中の裕福なトロフィーハンターが、セイウチを撃つチャンスを求めて北極地方を目指しています。
セイウチは威圧感のない動物で、ハンターが求めているような追跡のスリルを望んでのことでないし、逃げ足の速い獲物に忍び寄るという難題に挑むためでもない。
ではなぜ、セイウチを撃つのでしょうか。
それは、富裕層の狩猟クラブのリストに載っているすべての動物を一頭ずつ殺すという目標を達成するためと言われています。
このリストには、たとえばアフリカのブックファイブ「ヒョウ、ライオン、ゾウ、サイ、アフリカイギュウ」や、北極のグランドスラム「カリブー、ジャコウウシ、ホッキョクグマ、セイウチ」などが載っています。
それは、賞賛に値する目標とは言いがたく、多くの人は不快に思ってます。
しかし、市場によって満たされる欲求を市場が批判することはありません。
市場の論理の観点からはむしろ、一定数のセイウチを撃つ権利の販売をイヌイットに認めることは多くの利点があります。
イヌイットは新たな収入源を手にし、「リストハンター」は殺すべき動物の名簿を完成するチャンスを得るが、現在の割当数を超えるセイウチが殺されることはない。
いったん割当が決まれば、市場の倫理によって、取引できる免許を求めることで全体の福祉が向上する。
より幸福になる人がいる一方で、より不幸になる人はいないからです。
動物保護の観点や所詮お金なのか、という意見もあるでしょうが、私たちは現在、個人が自由に土地やお金・道具などの資本を持ち商売できる仕組みの資本主義の中に生きています。
資本主義の社会では売れるものがあれば売るのはそんなにおかしくないと思います。
ではスピリチュアルグッズはどうなのでしょうか?
波動カードを求めている人がいて、波動カードを売れば資本主義として正しい行動なのでしょうか。
土地施術を求めている人がいて、土地施術を行えば売れるものは売る資本主義の原則に基づいたこうどうなのでしょうか。
霊障に怯えている人がいて、除霊することは資本主義の理論とかけ離れていないのでしょうか。
スピリチュアル効果やグッズを売っている方もよく言います
「スピリチュアル効果やグッズに頼らないと生きていけない人がいて私たちはその人たちの手助けをしているだけだ」と。
私はそうは思いません。
セイウチ漁は実際にセイウチを撃つことができ、セイウチを撃ったという事実は得られるからです。
しかしスピリチュアル効果やグッズは違います。
セイウチりょうは実際に売ったものがセイウチではなかったり、実際に撃てなかったら問題になると思います。
契約不履行や詐欺に値するものです。
スピリチュアル関係の売買において、実際にパワーストーンやお札は届くかもしれませんが、それにどんな効果があるのかは立証されていません。
すべては概念的なものであり、本当に効果があるのか分かりません。
だから私はスピリチュアルを信じることや、グッズを購入することに関して批判的です。
世界には多くの問題があり、多くの解決法があり、さまざまな意見があります。
セイウチの漁についてはセイウチが可哀想、なんでも売買になるのはおかしい、という意見の方はいらっしゃると思います。
ではスピリチュアルの効果やグッズを売るのは良いのでしょうか?
スピリチュアルというものが売買されることはいいのでしょうか?
皆様の意見はどうでしょうか。
今日も、あなたが笑顔で過ごせますように。
占い師 小鳥遊あめ
BOOK
ブログを書くにあたり、「それをお金で買いますか 市場主義の限界」マイケル・サンデルさんの著書を大幅に引用しました。
ベストセラー「これからの「正義」の話をしよう」の著者の方です。
私たちはあらゆるものがお金で売買されている世界に生きています。
広告が絶え間なく流れ、行列に並ぶことすらファストパスで買える時代、建物の命名権がオークションに出される、
なんでもお金で買える時代、どう生きればいいのか、この著書を読むと答えが見つかるかと思います。
2012年の本なのに内容が色褪せないのがすごいですね。
これからの正義の話をしよう、良本です。ぜひ今後引用したいと思います。