<2020.07.11>起稿
(永福町 大勝軒/筆者撮影)
真面目(科学的)にこういうテーマについて分析していることが微笑ましい。
梅雨時にラーメンがうまいと言うのはしっかりとした科学的理由があるらしい。
つまり、梅雨、低気圧、90℃でスープのうま味キープ、味覚の鈍化、うま味の強さ…これらのキーワードが全部イコールで繋がれるそうである。
なるほど、梅雨だけに汁(つゆ)の美味さが発揮されやすいということか。
さて、記事に釣られて、ラーメンでも食べに行くとするか。
(西新宿 満来/筆者撮影)
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川口友万:サイエンスライター 2020.7.8 DIAMOND online
蒸し暑い日があると思えば翌日は大雨が降って寒くなるなど、梅雨のこの時期ははっきりしない天気が続く。何を着たらいいのか、服選びに困るようにランチに食べるメニューにも困る。冷たいものがいいのか熱いものがいいのか、さっぱり味か濃い味か。そんな時、選ぶべきはただひとつ、ラーメンだ。1年の内、ラーメンがもっともおいしい季節が梅雨。その理由をわかりやすく解説する。(サイエンスライター 川口友万)
名店のスープは
90℃前後で煮る
どの店も90℃前後で長時間スープを煮ている。沸騰させず、スープが沸き始めるところで温度調節をしているのだ。
醤油ラーメンや塩ラーメンのような澄んだスープ(清湯という)は、スープを沸騰させないことがおいしさのコツなのだ。
気圧が下がることが
スープづくりにプラス
低気圧で仮に90℃で沸騰する場合なら、放っておいても90℃を超えない。スープが濁るので沸騰させないように火の調整は必要だが、風味が飛ばない90℃以下を安定してキープできる。
さらに沸点が下がることで、同じ温度で気化する(=蒸発する)水分量は増える。スープを同じ時間だけ煮立たせるなら、低気圧の方が、水分が減り、より濃いスープが取れるのだ。
2010年、ドイツの航空会社ルフトハンザの依頼でフラウンホーファー建築物理研究所が行った調査研究によると、空気が乾燥し、気圧が低い部屋(飛行機の機内は0.8気圧前後)では、甘味と塩味の感受性が30パーセントも低下するのだそうだ。
梅雨で鈍る味覚も
ラーメンなら満足させる
空気が乾燥し、気圧が低い部屋(飛行機の機内は0.8気圧前後)では、甘味と塩味の感受性が30パーセントも低下するのだそうだ。
つまり人は晴れた日よりも雨の日の方が、より塩味が強く甘味の強い味をおいしいと感じるということ。
ところがラーメンのようにうま味が豊富な食べ物であれば、塩味は鈍くならない。対比効果により塩味が強く感じられるからだ。さらにこってり濃厚なラーメンの味は鈍った味覚を満足させるだろう。
そういうわけで雨の日は、ダシをしっかり取った清湯のラーメンがおいしくなるし、豚骨ギトギトの濃厚ラーメンは梅雨で鈍った味覚をキックしておいしさを復活させる。
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馬場俊英「ラーメンの歌」