最近の映画3作
エレノア・コッポラ監督「ボンジュール、アン」
ギリギリ劇場公開中に観に行った作品。
午前10時過ぎの平日だというのに、思った以上に人が入っていてビックリ。
主人公アンは、子育ても落ち着き、夫との時間を楽しめる余裕があるのに
その夫は仕事で成功して忙しく妻にはあまり関心がない。
夫の付き添いで一緒にパリに向かうはずだったが、ひょんなことから夫の同僚と車でパリに向かうことに。
真っ直ぐ向かえば7時間で到着していたはずだが、フランス人の同僚の自由気ままな提案でまわり道することになる。
美味しそうな食事やワイン、ため息が出るほどの美しい情景は
旅をしているような気分にもさせてくれる。
またフランス人のユーモアある会話と、情熱的?な演出は退屈で平凡な時間に刺激と彩を与えてくれる。
観客は圧倒的にマダムが多かったのですが、
子育てや仕事に忙しくしている女性へ贈る物語でした。
主人公のように、忘れていた楽しむ感覚を取り戻してくれるのではないだろうか。
深田晃司監督「淵に立つ」
レンタルでもずっと借りられてて観れなかったのですが、やっと観れました。
下町で工場を営みながら平穏な暮らしを送っていた夫婦とその娘の前に、
夫の昔の知人の八坂(浅野忠信さん)が現われる。
八坂との共同生活を送りはじめる彼らだったが、やがて八坂は残酷な爪痕を残して姿を消す。
8年後、皮肉な巡り合わせから八坂の消息をつかむのだが、そのことによって夫婦の秘密が明らかになり崩壊していく・・・。
恐らく劇場だったら、暫く席を立てなかったかもしれない。
八坂が現れてからずっと不気味で目が離せないほどスリリング。
とても静かな映画なのに、物凄く心を掻き乱される。
カンヌである視点部門で賞を受賞しているように、監督の視点が本当に面白い。
伏線がいくつかあって、それを1度見ただけではなかなか全てを理解するにはとても難しく深い作品。
浅野さんのただならぬ不気味なオーラと圧倒的な存在感も素晴らしく、
精気をどんどん失くしていく妻を演じられた筒井真理子さんの演技は観る人の心を掴んで離さない。
撮影は、ねこにみかんでもお世話になった根岸さんなんですが
とても美しい画を撮られるカメラマンさんで、今回ラストシーン(内容は伏せておきます)の”青”は特に美しく脳裏に焼きつくシーンでした。
ダーレン・アロノフスキー監督「レスラー」
かつては人気を極めたものの、今では落ち目のレスラー、ランディ(ミッキー・ローク)。
ある日、ステロイドの副作用のために心臓発作を起こし、レスラー生命を絶たれてしまう。
生活のために真面目に働きだすも、家族や好きな女性とも上手くいかず私生活はボロボロ。
ランディは再びリングに上がる決意をする。
タイトルで大体どんな内容かは読めてしまう作品ではあるが、役柄を遥かに超えるミッキーロークの哀愁漂うお芝居に胸を打たれてしまう。
汗や血の匂いが漂ってくるリアリティ溢れる作品。
しみじみ素敵だなあと、目頭が熱くなりました。
長くなりましたね。
読んで頂きありがとうございます (*´ω`*)