3月9日

 

「グリーンブック」と題する映画が上映されています。アメリカにおける人種差別を取り上げた映画ですが、概要と感想を書いてみます。

 

(映画の概要)

1962年、黒人の天才ピアニストであるドクター・シャーリーは、まだ人種差別が残るアメリカ南部でのコンサートツアーを計画します。彼自身は、現地で差別的な待遇を受けても、それに耐え、音楽の素晴らしさを伝えたいと思っていました。

 

彼は、運転手兼用心棒として、トニー・リップを雇います。トニーはイタリア系の白人ですが、ニューヨークのスラム街で育ち、粗野で無教養です。しかし、単純な素直さがあり、家族や周囲から慕われていました。

 

南部のあるレストランでは、室内のトイレは白人用なので、ドクターは使えません。黒人は、屋外の粗末な簡易トイレを使うように言われました。

また、ホテルも黒人が泊まれるところは、「グリーンブック」という黒人用の旅行ガイドに書かれた所に限られます。

 

ドクターは、高名なピアニストということもあり、差別があろうとも社会道徳を護ろうとします。トニーは、ドクターの上品で堅い生き方に抵抗を感じながらも、ホテル、レストラン、トイレなどが白人専用となっていて、ドクターを排除する度に、憤りを感じるようになります。

 

(私の感想)

アメリカにおいて人種差別が、社会に堂々と根を張っていた時代のことです。キング牧師が、人種差別撤廃を求める大デモ行進において、I Have A Dream. という歴史に残る演説をしたのが1963年であり、映画と同じ時期です。

 

人間同士の心のつながり、差別の不当さなどを少しずつみせてくれる映画です。押しつけがましいところはなく、むしろ控えめなのが心地よい展開となっています。

この映画は、第76回ゴールデン・グローブ賞で作品賞など最多の3部門に輝きました。