3月4日

(映画の概要)

1887年、ヴィクトリア女王(68歳)が即位50周年を迎えました。その式典で記念金貨の贈呈役に選ばれたのがインドに暮らすイスラム教徒のアブドゥルでした。

 

女王は、夫と信頼できる従僕を亡くして以来、周囲の人たちに心を閉ざして、職務だけをこなしてきました。

女王は、アブドゥルを見て彼の人柄などが気に入り、従僕として身近に置こうとします。アブドゥルは、知的にも優れ、インドの言葉や文化について女王に説明します。女王は、彼を「ムンシ(先生)」と呼び、身分の隔たりを越えて処遇します。

 

宮廷の高官、政治家、女王の兄弟などは、アブドゥルが厚遇されることに嫉妬と反発を抱き、ついには全員が職を辞すると言って抗議します。

それ以降の展開は、省きますが、女王の存在感が映画を貫いています。

 

(私の感想)

この映画を見ると、大英帝国時代のイギリス王室の様子が良く分かります。女王の絶対的な権限、豪華絢爛たる王室の内部、身分や位を重視する王室や政治家の様子などです。

 

そういう中で、自由闊達に良いものは良いという姿勢を貫く、ヴィクトリア女王の姿がいぶし銀のように光っています。年齢的には、68歳~81歳(没年)にかけての話です。どう見ても「容貌も衰え、体の弱ったおばあさん」としか見えない女性ですが、眼光が鋭く、旧弊を破って、自分の意思を自由に通す姿は、喝采を送りたくなるほどです。

 

この映画の魅力の90%は、この年老いた女王の魅力であると言っても過言ではありません。宮廷の高官やアブドゥルが彼女を引き立てています。

なお、これは、アブドゥルの日記に基づいており、実際にあった話です。