中国のジョン・ウー監督が、西村寿行原作の「君よ憤怒の河を渉れ」を、「マンハント」(主演 チャン・ハンユー、福山雅治)として映画化しました。かなり前に、高倉健主演の映画「君よ憤怒の河を渉れ」を見た記憶がありましたので、その違いに興味をもちました。

 

高倉健主演の映画は、原作にほぼ忠実なストーリーで、冤罪を着せられた検事(杜丘冬人)が、北海道へ逃れ、自分を陥れた犯人を追い詰めていきます。痛快ではあるが、現実には起こりえないような展開もあります。北海道から脱出するのにセスナを初めて操縦し、海面すれすれに飛んで、関東の浅瀬に着水するなどです。

しかし、高倉健に似合ったアクションとして、無理なく見た記憶があります。1970年代に制作されたこの映画は、中国でも大人気となり、8億人が見たと言われています。

 

「マンハント」は、骨格部分は西村寿行の原作を踏まえていますが、場所は大阪、検事ではなく弁護士(中国人)という設定です。そういう意味では、全く別の話と考えた方が自然にみることができました。

また、ジョン・ウー監督が得意とするアクション場面が多く、ストーリーは後ろに隠れてしまったような印象を受けました。

 

一般論として、映画と原作は別物であり、映画は監督の個性が色濃くでます。そう考えると、「マンハント」が面白いと思う観客も少なからずいるのだろうと思います。