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1位 《西遊記~はじまりのはじまり~》




様々なジャンル映画の演出手法やシーンの丸パクリを駆使した物語展開。チャウシンチー独特のグダグダさも織り込んで計算された語り口。

そうして表現される中国が舞台だということすら忘れさせる世界の中で、非力でビビりで奥手なくせに譲れない信念を持ったボンクラを主人公に語られる、多層的な感触を持つシーンの数々と、背後から金属バットでフルスイングされたように不意に琴線に触れる「ラストシーンで一瞬見える”アレ”」。

ベスト1の理由としては、この映画の伝えたいことが集約されていて、しかもその一瞬のためにこの映画全体が設計されていると言っても過言ではない「ラストシーンで一瞬見える”アレ”」があるからです。

厳しく切なく、でも救いでもあるそのラストシーンと、そこに繋げる物語を西遊記という器を使い描いたチャウシンチー初めとする制作陣はとんでもねーです。

今年自分の身に起きたこととも関連していてより一層忘れられないラストシーンとなったことと、そのラストシーンのための物語を娯楽として折り目正しく(時に外して)描いていることもベストの理由です。






2位 《ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

詳しい感想は別記事に書きました。

本当はこっちが1位なんです。去年までの自分だったら100%こっちが1位なんです。アメコミ原作のスペースオペラのなかで世の中にも、同じような境遇であるはずの犯罪者どもの中においてすら除け者にされ燻っている奴らが一致団結して一筋縄ではいかないものの次第に違い関係を超えた仲になる。

そんな話をウォークマン野郎・口の悪いチビ・自分の感情にすら無理解な女・だとんでもなく凶暴なバカ・ただデカイ奴という8割人外でかつバラバラな連中を主人公に描いているんですよ。しかも彼らの人格を、葛藤を、成長をあます所なく。しかもしかも曲のチョイスもタイミングもかっこよく。

スペースオペラをやりながら泥臭く清々しいなんて完璧じゃないですか。しかもチームものヒーローで。くどいですが、去年の自分なら絶対にこっちを1位にしているはずなんです。





3位 《ジャージー・ボーイズ》


イースットウッド御大の監督作品というだけあって、ハードルをかなり高くして観に行っているはずなのに、そのハードルを跨いで越えられてしまったぐらいに大傑作でかつ様々な意味で大事な映画になりました。第4の壁を越えた語りや名曲誕生の瞬間のモンタージュなどの映画的な演出と編集の巧さから、サクセスストーリーとしてのカタルシスと淡々と語られる凋落ぶりという緩急の利いた語り口。成り上がり伝記ものを奇をてらうことなく王道的に描いた、これぞウェルメイドな映画というべき作品でした。でもこういう”教科書的によくできた映画”っていうと予定調和に見えたり、どこかで聞いたことある話としていつの間に忘れてしまう手垢のついた題材の映画に見えてしまったりしまいがちだと思うんです。そんな王道を行く物語の映画をベスト3にしたのは、ちゃんとしているということと確かに熱い何かが映画的に憑依しているという点です。ちゃんとしているというのはメンバー間の不穏な雰囲気から悪事もマフィアも借金も金絡みもあますところなく闇を嫌なこととしてではなくドラマに盛り込んでいるところです。これ見よがしに暴露するような語り口としてではなくあくまで自然に、決してひそひそせずにそれ自体の良し悪し両面を平等に描いているのは地味に凄いことだと思います。事実を捻じ曲げるのではなく拡張して、強調せず記憶に残るように撮られている数々のエピソードを理路整然と語るあたり、もうぐうの音も出ません。物語を春夏秋冬にわけて4人に語らせるなどの小技を潜ますのも鮮やかです。そして映画的に熱い何か、それはやはり台詞では無くドラマと歌の演出の中に主人公の言葉で説明できない感情をそれまで観客が得た情報の量と比例してエモーショナルに伝わるものだと思います。要は各曲が歌われるたびにそれまでのドラマとこれからの暗示をその中に潜ませていて、それが最高潮にエモいのがラスト近辺で主人公が歌うあの曲になっているということです。そして全て織り込んで彼らなりの友情があったことを示す1990年代での再会でまた感動。極め付けにインド映画さながらのキャスト勢揃いの大団円でクリストファーウォーケンが歌い踊ったり、物語の総括として、またこの映画の構造を気付かされたりしてもうお腹いっぱいの大満足です。そしてもちろん伝記としての面白さもあって、特にジョーペシなんか爆笑しました。

酸いも甘いも余すところなく描きかつジュークボックスミュージカルで無理なく歌が入る作りで文句なし、しかも自分の好きなタイプのエモさがあってまた文句なしで1位と2位みたいにずば抜けて大好きでかつ大切な映画がなかったらこれがベストじゃない訳無いぐらいに最高でした。




銀河系最強のおもしろさは伊達ではなかったです。グロいしインディとかやってるし緩く笑えるし歪なつくりの映画ならではの面白さもあってとにかく本当に面白いんです。



2014年中に観に行った新作映画のランキングを載せたいと思います。


劇場で見た映画のランキングなので、2014年中に劇場公開→DVD発売となった映画で、DVDでのみ観賞した映画はランキングに含みません。


2014年に日本で公開された映画のみです。


判断基準はあくまで好き嫌いとかぐっときたとかなので、1位だから面白いとかワーストだからつまらないとかいうわけではないです。






2014年11月28日、菅原文太さんが亡くなりました。


キチガイみたいな人殺しだったり仁義を通そうとするヤクザだったりトラックの運ちゃんだったり中々死なない刑事だったり声優だったり、改めて出演作を振り返ると様々なジャンルの映画に出演されています。


ぼくが初めて出演作を見たのは千と千尋の神隠しで、実写だと三池版の妖怪大戦争でした。まあその時はおもろい声の爺さんだなとかその程度の印象でしたが、中3の時に仁義なき戦いを初めて見てからその存在を意識しました。というか一度仁義なき戦いを見てしまったら映画自体の熱気に、そしてこの人の存在感に圧倒されざるを得ないと思います。

仁義なき戦い一作目では、女に優しく理不尽な暴力に対抗し、仲間を信じることを忘れず義理を通そうともがく様をどこまでも泥臭く演じています。

自分の信念に忠実に生きる様を堕ちていく人間のように描くことは簡単です。物語が進むとどんどん暗くみじめな話になっていく。ですがそんなこと知るかと言わんばかりの勢いで、信念を持ちただただ生きるために突っ走る。その姿はむしろ物語が進めば進むほど生きていること自体の誇らしささえ感じさせます。

演じているというより体現している。体現しているというより言葉にできない熱と勢いを持った何かものすごい”生き物”に見える。下品に過激に泥臭く、でも決して悪ではない理想、気風のいいかっこよさ、完成されていない様の完璧性を演じられる。そんな日本映画界屈指の名優・菅原文太さんのご冥福をお祈りいたします。