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takam16が即席で図を書くなどというのは、ブログでは初めて
である。ある地域では、穏やかな季節に雹(ひょう)が降ったなどという
目が点になるような話を聞いた。珍しいことをすると

「明日は雨だな。」

とはお決まりのフレーズであるが、雹が降ったのは実はこのせいでは
ないかと思いたくなる。雹の降る前日に書いた図と記事がこれだから
である。

突然何を書き出したんだ、このブログはと訝しげな表情を浮かべる読者様の
姿を容易に想像することができる。
ビルの見取り図を描きたいわけではないし、デパートの案内図であるなら、
地下が不足している。

これは、書店の棚である。そして、文庫の棚である。
しかしながら、下手な落書きになってしまった。反省である。

書店時代はコミック以外の仕入れ・陳列全般を一業務にしていたのだが、
その仕入れ・陳列で最も力を入れていたのが、文庫である。
なぜならば、
文庫陳列には手の施しようが山ほどあったからだ。



takam16は、原則的に出版社別に陳列することを好まないタイプである。
そして、本の形ごとに陳列するのはまったく合点がいかないとも思っている。



これを人は「強硬派」と揶揄する。
基本的には温厚を売りに生きているのだが、陳列の話になると俄然、語気を
荒げるぞと人は言う。マンガのDr.スランプでは、女性に触られると
トラに変身してしまう中国から来た一家の息子がいたが、
そのように思っていただいて問題ない。

文庫棚改造にはちゃんとした理由があるのだが、
本をジャンル別に分けて、ジャンルごとの
在庫に対し、どれだけ売上があったかを金額ベースで計算すると、
最も売れゆきが悪いジャンルは、文庫、新書、単行本といった類である。
ちなみに、売れゆきの良いジャンルは雑誌、コミックであり、なんでも揃えようと
する書店にはありがちなパターンである。

この文庫の在庫のわりに売れゆきの悪さに合点のいかないtakam16は、
その原因を
真っ先に出版社別の安易な文庫陳列法に求めることにした。

変更案は、陳列の原則を「著者別」に並べることである。

ちなみに文庫も新書もコミックも、出版社を基準にした並べ方が一般的である。
ただし、この中で最も手の加えがいがあるのは、やはり「文庫」である。


書店が陳列方法について教えを請う時に、出版社別にしてくれと頼むのは、
出版社や取次会社(問屋)の都合である。

また、書店は取次会社(問屋)の支店のようなものに見えるときがある。
取次会社の流通センターは著名出版社別かつジャンル別にそれぞれ本が
陳列されている。その陳列法をそのまま押し付けたのが、書店の陳列である。
それは違うと人は言うが、そう見えるのだから仕方がない。
そして書店側としても、その陳列法にNOとは言わない。なぜなら、
出版社別に陳列しておくと、管理がしやすいからである。
管理というのは、追加注文書は出版社別にそれぞれ用意されている。
出版社別にすると、注文書と照らし合わせるのは非常に簡単である。
一応、本が売れる度に書店があるレベルのPOSレジを取り入れているなら、
手持ちの、あるいは固定式のスキャナーを使って追加注文の情報を
取次会社に送信するのが、一般的な注文方法であるが、
時には、出版社・取次会社に在庫がない場合があり、そのままでは
いつまでたっても注文した本が入荷しないことも多々あるため、
あるいは担当者の追加注文忘れというミスも考えられるため
定期的に担当者は欠本チェックをする。それが前述の管理であり、
そのための追加注文書である。

本の形で管理するのも、出版社・取次会社・書店にとっては都合がよい。
POSレジは現在ではさらに進化していると思うが、
当時(2~3年前)はジャンル別での売上管理をしていた。
それらのため、文庫、新書、単行本、コミックを混ぜた陳列方法をするものなら、
それぞれに担当者がいたために、大混乱をきたすのである。
また、各担当者は自分の棚がかわいい。
それをミックスさせるとなると、そうは問屋がおろさない。
つまらないところで、わけのわからないプライドを見せつける。
魅せるのではなく、見せるのだ。
決められた区画に自分の担当の本が固まっていることが作業上理想なのである。

しかしながら、お客側にしてみれば、本の形や出版社で陳列されると、
いろいろと困ることが出てくる。
作家はさまざまな出版社から本を出すため、店内検索システムがないと
探すのに一苦労である。
同じ作家は文庫、新書、単行本と形を変えて出すことも多い。
しかし、書店の陳列は本の形別がお決まりである。

大きな書店ほどこの傾向が強い。その理由は
・担当者の持ち場が細かく分けられている
  例)○○出版社の◇◇文庫担当

・効率的に管理ができる
  例)追加注文書を使っての欠本管理

・大書店だけに出入りする出版社の営業マンが陳列に口を出す
  例)出版社別に固めていただかないと!

>
出版社や取次会社の方に顔が向いており、これでは
お客側に顔が向いていない。


一方の中規模書店はその点で言えば、小回りが利く。
もしも仕入れ・陳列担当者を細かく分けず、もっとシンプルにすれば、
そして書店側が面倒くさがらなければ、
出版社別、本の形別の陳列に妙にこだわる必要はない。

出版社別 → 作家別

への陳列方法の変更はなかなか売上の良い意味での変化をもたらす
手段であるが、

しかしながら本にも「ブランド」というものが存在する。
「レーベル」という言い方がふさわしいだろうか。
築きあげた「ブランド品」を引き裂こうとすると、
担当者の不満はもちろん、
既存客の信頼を失う可能性をおおいに
秘めている。

出版社別 vs 作家別

は、よく店員の間で話し合われることである。
店員が出版社別を好むのは変化による煩わしさと、仕事が増えることへの
不満である。さまざまな外部からの圧力もあり、出版社別が大勢を占める。


一方のお客側は、いわゆる読書家と呼ばれる人々は出版社別をよしとする
傾向が強い。また、子供の頃から出版社別に慣れており、それが習慣づいている。
ところが、店舗アンケートを実施すると、対象者が読書家であるかは定かでは
ないが、7割が作家別を希望した。理由は、

「私は出版社で本を選ぶのではない」
「探しにくい」

であった。
それが文庫棚改造案のきっかけである。


書店は(取次会社)問屋の支店ではなく、あくまでもお客と商売をしている。
出版社別、本の形別にこだわる本屋へ訪れると、そこは

まるで取次会社(問屋)に本を仕入れにでも来た気分になる。





続く....



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第58回日本推理作家協会賞候補作  5月24日受賞作決定予定

長編および連作短編集部門候補作

・「イニシエーション・ラブ」
 乾 くるみ
・「Q&A」
 恩田 陸
・「硝子のハンマー」
 貴志 祐介
・「剣と薔薇の夏」
 戸松 淳矩
・「追憶のかけら」
 貫井 徳郎


短編部門候補作

・「大松鮨の奇妙な客」 蒼井 上鷹   (小説推理12月号)
・「東山殿御庭」 朝松 健      「黒い遊園地」
収録
・「お母さまのロシアのスープ 荻原 浩 (小説新潮12月号)
・「虚空楽園」 朱川 湊人 (小説推理11月号)
・「二つの鍵」 三雲 岳斗 (ジャーロ16号)



<評論その他の部門候補作>

・「ゴシックハート」
 高原 英理
・「子不語の夢」
 浜田雄介編
・「不時着」
 日高恒太朗
・「ミステリアス・ジャム・セッション」
 村上 貴史
・「探偵小説と日本近代」
 吉田司雄編

昨年の受賞作です。

長編及び連作短編集部門    ・「葉桜の季節に君を想うということ」     歌野晶午        
               ・「ワイルド・ソウル」     垣根涼介        
短編部門            「死神の精度」     伊坂幸太郎        
評論その他の部門       ・「水面の星座 水底の宝石」     千街晶之        
               ・「夢野久作読本」     多田茂治