関西では(他地域もそうかもしれませんが)平日の午後の番組にて、
主婦向けの情報番組に各局が力を入れています。
普段は自宅にいる方の立場を考え、世間のはやりや世の中のしくみの裏側などを
非常にわかりやすく解説してくれ、たまに平日が休みの時には大変ためになる
午後のひとときです。
1月19日の3時半頃でしょうか、ふとテレビをつけると、それは
日刊ゲンダイの二木啓孝編集長がゲストコメンテーターとして出演しておられる番組でした。
そして、番組のセットの中には視聴者にわかりやすく説明するための大画面、またはパネルが用意されており、そこには以下の文字がありました。


38300円
5400円
1950円


記憶にある数字は3つ。他にもありましたが失念しました。あしからず。
38300円とは、お父さんのひとつきのお小遣いの平均です。
5400円は、携帯電話にかかる費用の平均
そして
1950円がお小遣いから費用を差し引いた残りの平均
要するに自由に使えるお金は月平均1950円
という調査結果です。

このデータに日刊ゲンダイの二木啓孝編集長泣き
が入るのです。
「残額の少なくてお父さんが日刊ゲンダイ買ってくれないんですよぉ。」
調査機関が出版物等の売上低迷をデータで示す血の通わない資料はよく拝見するのですが、当事者による血の通ったコメント、しかもローカル番組とはいえ、生放送を通じてのこの訴え。

残った1950円の中で自由なお金の使い方を考えなければなりません。そこには書籍・雑誌の入り込む余地はありません。

費用項目には携帯電話の他、昼食代、飲み代などもあったと記憶します。飲み代を必要経費に入れるのは賛否両論ですが、とりあえず1950円ではお話になりません。
単行本1冊で精一杯です!

この数字をその番組ではさらに掘り起こしまして、
子供のいない家庭なら5000円多く自由なお金が使え、
共働きならもっと自由さは増し、
独身ならば15000円ものお金が余ると調査しています。

このような調査は各本屋でも独自にアンケートを行ったりして把握もしますが、
出版編集長の泣きごとにはただごとのなさを感じさせます。

番組をすべて拝見したわけではないのですが、少し気になる点は、
データに携帯電話代を入れた点です。こいつは少々解せない!
携帯電話やメールのやりすぎとそれによって起きる高額料金の発生を読書や本の普及を妨げる原因、そして売上減に求めることは出版業界ならずとも、他業界でも議論されること。
特に、出版業界はインターネットの普及を
売上不振のせい
に求める最たる業界の1つです。文章を商売にしている者にとって、同じく文章を手っ取り早くしかも広範囲に届けることのできる最強の存在、インターネット....
学生時代の貴重な時間を読書にとって替わった憎き存在、携帯電話.....

しかし、いち早く流れを読み取った出版社もあり、まだ少数ですが電子配信や携帯配信により売上・利益を伸ばし始めた企業もあります。

書籍を売る書店も出版社と同じく、
売上不振の責任をインターネット、携帯電話の普及の責任
と捉えがちです。出版業界の末端に位置するのですから、同じ結果となるでしょう。

また、そこには出版点数増加の原因や書店側のつまらない棚作りが起こす読書離れが
蚊帳の外に置かれている状況です。

そのくせ、自分達は生活でパソコン、携帯、メールを惜しみなく使用するのですから、説得力はまったくありません。



もう少し、建設的で前向きな分析をお願いしたいものです。