本屋の仕事は基本的には労働集約型産業。どれだけコンピュータ化されよが、
品出しや棚作りから接客、返品とすべては手作業命。
さらに儲けが他産業より確実に少ないとくれば
人件費で利益のほとんどが消えてしまう書店業。
そこで、使い勝手のいい(パートの皆さんゴメンナサイ...)
アルバイト・パートの力が必要となります。


当時、急遽2人が抜けることになり、新たな採用にあせったことを思い出します。

朝・昼に入ることのできる本が大好きなパートさんを2名募集!!

工夫も苦労もあったものじゃないこの殺し文句(?)に
すぐに電話のベルが、それも期待のベルが鳴り響きました。

「働きたいんですけど、もう1人友人もいるんですがいいですか。」
ああ、神様 仏様 殺し文句様。なんの苦労もなく私達本屋を助けて下さるのですね。

翌日2人まとめて面接。効率ってホントいいじゃない。即採用。
友人同士の2人はご近所の主婦で子供も同じ学年のようでした。
ただ、そんなことはどうでもいい、いや、どうでもいいと思い込んでいました。

学生時代、友人同士でアルバイトの面接に行くと何故か一方が採用されて、
もう一方は不採用という苦渋を2度経験したことのあった僕は、
自分がいやな思いをしたことへのトラウマから、他人にはそういう
思いをさせまいとのご都合主義へと走ってしまったのです。

なによりも本好き、特に推理小説好きのお2人。宮部みゆきやら東野圭吾やらの
小ネタに詳しく、頼もしいフェア作りの参考にもなりました。
確かに良かったあの2人。休みさえ同じでなければ


子供が同じ小学校かつ同じ学年の親であるその2人は
PTA、参観日、運動会に家庭訪問と行事という行事が学校で催される
度にお休みという技をかけてきました。しかも同時に。ご近所さんも災いで、町内会などもあったりします。またお休みです。同時に。
さらにボランティアを2人でしていたらしく、その時もお休み
これまた同時に。そしてこれらの技は巨人の清原ばりの特大ホームランで、
技をかけられた社員側は、かつてボブ・サップのパンチでがまガエルの
ごとく倒れた曙の心境です。

お休みの数は別に多くはないけれど、休みが重なるのが社員の心を打ち砕き
ます。だって、代わりに出社しなければならないのですから。公休なのに。
勤務書店では、仕事に入れる日にその時間を書く制度でした。例えば
「10時~5時」「9時~6時」などです。
このファーストフード的希望シフト制も、大勢のパートを抱えている時に
こそなせる技。自分で自分の首を絞める結果に相成りました。
何故自分で自分の首をですって?
それは、僕自身が新たに決めた新制度だったからです。

そしてここで、学生時代の同時採用が実現しない訳をようやく理解。
同じ境遇の人物を採用すると、一緒に休まれることが店側としては困りモノ。
学生なら試験の季節になると一斉にお休みをする、あの有様を事前に回避
していたのですね。

のちに学生時代の友人と会話する機会があって、
「そういうことだったのね。」

などと苦笑い話をするも、あとのお祭り。自分が軽率な判断で採用しただけに、
どちらかがやめてくださいなど、口が裂けても言えないのでございました。

今となっては昔の話でしたが、今後こういう集団面接となったときは、
ぜひぜひお気をつけ下されと自問自答の管理人でありました。