さて、文庫の著者別陳列肯定派の僕ではありますが、ここでなんとも頭を悩ます文庫というものがあります。
いわゆるレーベルと呼ばれるシロモノ。噛み砕けば、「ブランド」文庫のことです。
例えば、三笠書房の「知的生きかた文庫」 光文社「知恵の森文庫」講談社「α文庫」など。これらはいわゆる「ブランド」として読者に親しまれています。著者別陳列というのは小説、物語の場合はブランドが「作者」なわけです。さらに、これらの出版文庫は特別な名称を持ちません。「新潮文庫」「文春文庫」「光文社文庫」「講談社文庫」....。

ここで著者別否定派の意見がびびっと、いや、ぐぐっと押し寄せます。

「一方で著者別、一方で出版社別。統一性がない!」

実際、ビジネス、人文、学術系の文庫でも、中谷彰宏さんのように「知的生きかた文庫」「PHP文庫」「成美堂文庫」にそれぞれ執筆されているブランド作家さんもおられるのですが、小説とは違い、これらの類は圧倒的に著者ではなく、内容重視です。
ここに文庫というひとくくりでまとめることへの矛盾が生じてしまうのです。

次回へ続く.......