アドベンチャーツーリズムを通じた北海道の持続可能な観光地域づくり

 

 

北海道産ワインの現状と今後の展望~道産ワインは北海道の多様な魅力へのゲートウェイ~2021年1月

 当レポートでは、近年、北海道各地でワイナリーが急増し、個性豊かなワイン造りが進められていることから、北海道産ワインの現状と今後の展望に注目いたしました。各種文献やデータの分析、道内ワイナリーの事例紹介等を通し、その特徴や国内ワイン市場における位置付け・優位性等を把握するとともに、今後さらに発展させていく方策について考察しています。

 

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北海道は「アジアで唯一、西欧田園地域の豊かなライフスタイルを享受できる地域」という強み・特色を有している。

(注)北海道の広大で緑が続く風景だけでなく、北海道の位置する北緯41~45度は西欧のフ ランス南部地域やイタリア北部地域など、ヨーロッパアルプス南部地域とほぼ同じ緯度であり、 冬期と春~秋までの日照時間の大きな差は、北海道と西欧での生活感覚の類似性を生んでいると 言える。これは、例えば春から秋までの間の屋外活動の喜びの大きさなどに象徴される。

 

(1) 北海道の魅力の掘り起こし・磨き上げ 

北海道には、風景、自然、食材、温泉・宿、テーマ性(小説、映画、漫画のモチーフ)など優れた素材が多いが、マーケットセグメンテーションや適切なチャネルを絞り切れていないため、期待される高い効果が十分には発現できていないケースも多い。 

北海道の観光を足腰の強い持続性のあるものにしていくためには、北海道の観光資源の「本物の価値」をしっかりと掘り起こし、提供方法を磨き上げていくことが必要である。

 

道民にとって当たり前のこと、ありふれたことでも、道外の人達には珍しいこと、魅力的であることが多い。重要なことは、消費者目線、よそ者・若者・女性目線で、今あるモノ・コトを再評価し、人々の欲求を満たす各地域ならではの「本物の価値」を掘り起こし磨きあげ「オンリーワン」にすることである。 

 

北海道のそこにしかないモノ・コトに徹底的にこだわり、磨き上げる姿勢が道外の人に喜ばれるのであって、「わざわざ行くだけの価値」が認められることになる。

 

(2) 北海道ライフスタイルを生かした取組の展開

北海道は、フランス、イタリアなどの西欧諸国とほぼ同じ北緯41度~45度に位置していることから、春から秋にかけての長い日照時間帯を生かし、空間的・精神的に豊かな時間を過ごす「アジアで唯一、西欧田園地域の豊かなライフスタイルを享受できる地域」である。こうした北海道ライフスタイルは国内外から憧れを持って見られている。

 

牧場・花卉園の風景を楽しみながらのドライブ、湖沼での遊覧船、手軽に安く楽しめるスキー(注1)などのウインタースポーツや、ゴルフは言うまでもなく、北海道発祥で全国的にも施設があり、老若男女が手軽に楽しめるパークゴルフ、ラフティング、乗馬、マラソン、サイクリング、シニア層に人気のハイキング・登山・フットパス・ロングトレイルなどアウトドア・アクティビティを満喫することや、食生活では北海道の伝統料理と言えるジンギスカン(最近では道産羊肉のジンギスカンも人気を得つつある。)や道産のワイン・チーズ・エゾシカ肉(注2)など西欧風食材 を味わうこと、これらが全て揃っているのが北海道らしいライフスタイルの象徴と言える。

 

 (注1)北海道は、フランスが誇るスノーリゾート「シャモニー」と同じような緯度にありながら、標高の高い所まで行かなくても体験できるパウダースノーや半年に及ぶ長いスキーシーズンに恵まれている。また、長期滞在可能なスキーリゾートが整備されているだけでなく、人口190万都市札幌には市内に5つのスキー場があり都市部でも手軽にスキーを楽しめる世界でも類い希な環境にある。このように、北海道のスノーリゾートは札幌から3 時間以内程度の移動範囲に密集しており、羽田直行便が就航する道内8空港のいずれにつ いても至近距離にスキー場があることから、子供からお年寄りまでライフステージにあっ た雪の楽しみ方を提供できる強みを持っている。

平成29年にはアジア冬季競技大会が札幌市及び帯広市で開催される予定であり、この好機を最大限生かし、関係者が総がかりで、北海道のスノーリゾートの魅力を世界に向けて発信していくことが求められている。

(注2)平成19年度に「エゾシカ肉推奨制度」が導入され、品質水準の確保を図る措置が取られている。野生シカ肉料理は、フランス料理において冬のジビエ(野獣)料理として珍重されていることから、エゾシカ肉の料理は、北海道特有の食文化としての将来性を持つものである。なお、北海道におけるエゾシカなどの野生鳥獣による農林漁業・交通事故被害 額は年間100億円を超えると言われており、これらの野生鳥獣を食文化に取り入れてい くことは、駆除対象の害獣としてやっかいもの扱いされている資源を有効活用するととも に被害対策の一助となるものである。

 

このことこそが北海道ならではの観光の強み・特色とも言える。

例えば、最近注目 を集めている北海道の気候・風土を生かした北海道産のワインづくりの生産現場を訪ねるワイナリーツアーや、北海道の夏の冷涼な気候、杉花粉のない環境や健康回復に高い効能を持った温泉などを生かした避暑や療養などを目的とした長期滞在や移住の促進に資するツアーの造成など北海道ならではのライフスタイルの強み・特色を最大限生かした観光振興の取組を展開することが重要であり、そのためには着地型旅行商品(注)の充実が必要である。

さらに、LCC の就航やクルーズ船の寄港等に対応 し、主要な空港・港の周辺を拠点とした道内日帰り観光の促進を図る必要がある。 

(注)着地型旅行商品とは旅行者を受け入れる側の地域(着地)側が主体となり、各種体験や 地元産品等当該地域ならではの観光資源を活用して造成された旅行商品。

 

(3)農水産業・食やコンテンツなど異業種と観光との連携による道内産業の振興 

観光は、宿泊業、運輸業、旅行業など直接的に観光にかかわる産業だけではなく、 農業、水産業、食料品製造業をはじめ、様々な産業とも密接に関連している。こうした裾野が広い観光の特色を生かし、これまで関わりが必ずしも強く無かった他産業と観光との連携を強化することで、北海道の観光魅力の向上のみならず、他産業の高付 加価値化や輸出等の促進にもつなげていく、との視点を持つことが重要である。 

そのような連携強化を図るには、道内の経済界や地域を挙げて既に取組が進められ ている「食クラスター」、「フード特区」や「コンテンツ特区」等の取組と観光分野が 連携することも重要である。 食と観光の関わりに目を向けると、西欧の豊かなライフスタイルの象徴であり欠く ことができないワインやチーズは、近年、とみに北海道産品の品質が向上している。 さらに西欧では高価値食材として珍重されるサフォーク羊肉やエゾシカ肉なども道 内で生産されている。このような食材が北海道産品としてあることの価値を道民が認 めて、自ら消費することがこれらの生産・流通を支援することになるとの意識を持つ ことが大切である。

また、こういった農業生産活動が、美しい景観をもたらし貴重な 観光資源を形成していることを改めて認識する必要がある。また、食をテーマとした新たな観光メニューの開発や着地型旅行商品の開発を促し、 地域滞在型の北海道観光づくりを推進することで、北海道観光の魅力向上のみならず、 地産地消の推進や地域内消費の拡大、さらには観光体験を通じて、北海道及び道産品 のファンとなり旅行後の継続的な商品購入にもつながることや口コミによる販路拡大なども期待される。

食以外にも、今後、北海道が目指すべき「小規模受注高付加価値型」の有望な産業の1つと考えられるコンテンツ、ファッション、デザイン、芸術やガーデニングなど優れた産業や当該分野でカリスマと全国的に慕われる「人財」がある。

すでに、VJ 地方連携事業において、北海道の観光と合わせて、食、コンテンツ、音楽、ファッション、デザインなどを一体的にプロモーションするプロジェクトを支援するなどの取組を進めているところではあるが、引き続き、マーケットインの視点に立ちつつ、こ れら異業種と観光とが相乗効果を発揮できる海外プロモーションの展開などにも積極的に取り組むことが重要である。

 

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主な観光資源

■ 主な観光資源 

・大通公園、時計台、羊ヶ丘公園 

・狸小路・アウトレットモールなどショッピング、アミューズメント 

・支笏洞爺国立公園のカルデラ、火山 ・温泉 ・道内最大級の湯量、湯種を誇る登別 

・新千歳空港 

・日本百名山の一つである羊蹄山 

・パウダースノー、アクティビティが人気のニセコ地区 

・アイヌ民族博物館 

・小樽運河 

・余市蒸留所、ワイナリー 

・北海道大学 

・牧場 

・札幌ドーム

道南エリア

■ 主な観光資源 

・大沼国定公園 

・函館元町の異国情緒 

・幕末の舞台となった五稜郭の史跡 

・稲作、畑作、酪農、木彫り熊などの発祥の地 

・道内唯一の城下町松前 

・桜 

・北前船の寄港地 

・離島 

・太平洋、津軽海峡、日本海の豊かな魚介類や駒ヶ岳などの自然環境 を生かしたバラエティ豊かな農作物 

・地域産品を生かしたレストラン 

・北海道新幹線

 

道北エリア

■ 主な観光資源 

・日本最大の大雪山国立公園 

・利尻礼文サロベツ国立公園 

・美術館、文学館 

・美瑛パッチワーク、富良野ラベンダー、ガーデン 

・旭山動物園 

・鍾乳洞、青い池、雲海 

・宗谷丘陵 稚内北防波堤ドーム 

・アウトドア(ラフティング、スキー、フットパス、サイクリング) 

・食(日本酒、ワイン、チーズ、カニ、エビ、タコ、ウニ、ホッケ、 サケ) 

・フルーツ(サクランボ、リンゴ) 

・めん羊(サフォーク) 

・温泉 

・離島(食、海鳥ウォッチング)

道東エリア

■ 主な観光資源 

・世界自然遺産 知床(知床国立公園) 

・阿寒国立公園、釧路湿原国立公園 

・アイヌコタン 

・ジオパーク、豊似湖 ・サラブレッド 

・流氷(ガリンコ号 砕氷船)、原生花園 

・芝桜、チューリップ、コスモス 

・食(スイーツ、そば、ジャガイモ、ナガイモ、カニ、ホタテ、サケ、 キンキ、シジミ、ハッカ、タマネギ、チーズ、ワイン、コンブ) 

・昆虫生態館、SL 

・ばんえい競馬 

・山の水族館 

・アウトドア(カヌー、ラフティング、登山、ネイチャークルーズ、 乗馬)

 ・カーリング

 ・バードウォッチング 

・国内唯一の坑内掘り炭鉱

 

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■新千歳

 グローバル ゲートウェイ 

北海道全体の航空ネットワークの拡大と、観光市場の成長を牽引するリーディングゲートウェイ 

■稚内

 利尻・礼文等の地域観光資源へのアクセスを担い、地域の経済・生活を支えるゲートウェイ 

■釧路

釧路・阿寒のアドベンチャーツーリズム・ひ がし北海道広域周遊のゲートウェイ 

■函館

 新幹線とのアクセス強化による道南・東北 No.1の広域周遊観光ゲートウェイ 

■旭川 

旭川・大雪・富良野等の世界屈指の山岳・スノーリ ゾートや道内各地への広域周遊観光ゲートウェイ 

■帯広

フードバレーとかちやひがし北海道広域周遊観光のゲートウェイ 

■女満別

オホーツクの比類なき大自然やひがし北海道広域周遊観光のゲートウェイ