たからっ工房です。

ヒツジの特産品を考えているうちに、

ハーブにたどり着き、ハーブに魅了されてしまっています。

 

本日は、ハーブ療法の母・聖ヒルデガルトの自然学の一部を抜粋して、
ヒルデガーデンづくりの参考資料を作ってみたいと思います。

 

ビンゲンの小高い丘にあるヒルデガルトフォーラムのヒルデガーデンには、

①バートラム Bertram (学名:Anacyclus pyrethrum/キク科)、

②ヒソップ Ysop、

③ニガヨモギ Wermut、

④オオグルマ Alant、

⑤ニゲラ Schwarzkuemmel、

⑥カレンデュラ Ringelblume、

⑦カモミール kamille、

⑧ミルクシスル Mariendistel、

⑨セージ Gartensalbei、

⑩ラベンダー Wahre Lavendel、

⑪クラリセージ Scharlauch、

⑫マシュマロウ ウスベニタチアオイ Stockmalve、

⑬サマーセーボリー Bohnenkraut、

⑭パセリ Petersilie、

⑮ほおずき Judenkirsche、

⑯フェンネル Fenchel、

⑰セロリ Sellerie、

⑱玉葱 Kuchenzwiebel、

⑲ガーリック Knoblauch、

⑳ディル Dill、

㉑ラビッジ Liebstoeckel、

㉒シャクヤク Pfingstrose、

㉓ルー Weinraute、

㉔レモンバーム Zitronenmelisse、

㉕百合 Madonnenlilie、

㉖ジャパニーズミント Ackerminze、

㉗ヤロウ Schafgarbe、

㉘セイヨウオダマキ Akelei、

㉙オレガノ Dost、

㉚マグワート(ヨモギ) Beifuss、

㉛ドッグローズ Hundsrose、

㉜バラ Rose、

㉝ホップ Hopfen、

㉞ブラックベリー Brombeere、

㉟ローレル Lorbeer、

㊱ジュニパー Wacholder、

㊲アロエ Aloe、

㊳イチジク Feigenbaum、

㊴オリーブ olivenbaum

 

花はバラ・ユリ・野ばら・ラベンダー・カモミール・カレンデュラ・スミレ。
多年草は、タイム・セージ・ミント・ヒソップ・レモンバーム・フェンネル・ラビッジ・マグワート・オオバコ。
周りをオリーブ・ホップ・ローレル・アロエなどで囲むなどが

記載されていました。

 

素晴らしい社会ですね。

 

 

 

 

 

 

 

聖ヒルデガルトは、「自然療法の女神」「クリエイターの守護聖人」と世界各地で尊敬されています。「型破りな神秘家ヒルデガルト・フォン・ビンゲン」(原題The Unruly Mystic,2014年)という映画の中で「生命の息吹を私たちは『緑の力』 と呼び、イマジネーションや創造力に働かせるのに利用します。芸術家の聖なる支援者は聖ヒルデガルトなのです」と描かれました。ヒルデガルトの愛した薬草はドイツの薬草園だけでなく、フィレンツェ大学の薬草園、そしてついに2019年9月16日、日本でも熱海のアカオハーブ&ローズガーデンに「聖ヒルデガルトの庭」が誕生し、見ることができます。

修道院の薬草の庭ヒルデガーデン、「ヒルデガルト」(Hildegard)という名前には、Hild に古高ドイツ語で「戦い」、gardに「護り」の意味があるとされ、少し前のドイツではよくある女性名だとか。そしてGarten「庭園」にも通じます。女性庭師であり、病と闘う女戦士の意味もあるのでしょう。修道院の中庭には施療院で使う薬草が野菜・果樹とは別に育てられます。最古の薬草園はカール大帝(742年~814年)が薬草園プランをザンクトガレン修道院に残し、南ドイツのボーデン湖中のライヘナウ島の修道院に修道士ストラボが「Hortulus」(小さな庭)をつくりました。マドンナリリー、ローズ、ソラマメ、キダチハッカ(サマーセイボリー)、コストマリー、コロハ(フェヌグリー ク)、ローズマリー、ペパーミント、セージ、ヘンルー ダ、ドイツアヤメ、ペニーロイヤルミント、スペアミント、クミン、ガーデン・ラヴィッジ(ラベージ)、 フェンネルです。

彼女の書き残した自然学には、庭に咲く植物の詳しい使い方(レシピ)と共に紹介されています。

① ヒソップ Ysop

大変強い力をもっている。咳をしていたり、肝臓に痛みがある人はヒソップと鶏肉を一緒に食べるとよい。肝臓のトラブルには、ヒソップの茎を数本、白ワイン1/2リットルに2~3日つけて朝、リキュールグラスに1杯飲むとよい。

② ニガヨモギ Wermut

大変温で、その力はとても強く、あらゆる病気に対する一番の治療薬。 胸の痛みの咳にはニガヨモギの汁とその2倍のオリーブオイルを胸に塗るとよい。

③ カレンデュラ Ringelblume

冷で温、そして 強い生命力をもっており毒に対抗する力がある。 頭に疥癬のある人は花と葉の絞り汁に水と全粒粉を混ぜてペーストにしたものを塗りなさい。

④ カモミール kamille

温で好ましい汁をもち、 腸の痛みに対する軟膏にふさわしい。カモミールを水とラードと共に加熱し、全粒小麦粉を加えて粥にしてもよい。これは月経時の女性にもよい。 熱湯1リットルに摘みたてのジャーマンカモミー ルの花大さじ5杯を入れて5~10分抽出し朝食を食べる前にカップ2杯飲みます。その時はまず仰向けに、次に右側を下に、続いて左側を下に、 最後にうつ伏せの状態でそれぞれ5分間横たわ るという回転療法も修道院から広まったそうです。

⑤ セージ Gartensalbei

温で乾であり、病んだ体液全てに効き、生でも加熱したものでもよい。 息が臭い時、セージをワインで煮て布でこしたものを飲むとよい。

⑥ ラベンダー Lavendel

すばらしい花の青と間違えようのない香りは、誰にでもそれと分かる。 野生のラベンダーは温で乾であり、その温度は健康的。ラベンダーをワインで煮たものを飲むと、 肝臓と肺の痛み、呼吸困難を和らげ、正しい知識と正しい理解力を与える。この匂いを嗅ぐとシラミが死ぬ。この香りは、澄んだ瞳にする。

⑦ パセリ Petersilie

熱性。食用としては、生で食べる。心臓、脾臓、わき腹に痛みがある時は、 パセリに少量のビネガーと蜂蜜を加えてワインで煮たものを飲みなさい。

⑧ フェンネル Fenchel

生でも加熱しても食べた人を幸福にし、発汗を促し、消化をよくする。 息の悪臭が消えて眼がはっきり見えるようになる。 メランコリー(当時、病気は黒胆汁が増えて憂鬱質からなると考えられた)にはフェンネルの汁を額、こめかみ、胸と胃に塗りなさい。

⑨ メリッサ Zitronenmelisse

温で心を楽しくするので食べると笑うことができる。これを湧き水の中で一晩浸し鉢の中で温めたものを眼にあてるとよい。

他にミント各種、ワインや蜂蜜漬けにされたオダマキ、お灸にしたとされるヨモギ、オレガノ、傷や打撲によいというヤロウなどや、愛の象徴としたローズヒップは蜂蜜漬けにするとよい。ローズは全ての薬剤(レメディ)に混ぜるとよい。花びらは目によいなどと、あります。

ビンゲンのヒルデガルト・ファーラムにあるヒル デガーデンでは、ツアーをお願いすることができ、 必ずセージを鼻に入れてくれます。それは、セージとローズの香りを嗅ぐと怒りが収まるという記述からだそうです。またホップ Hopfenをビールに入れるようになったのは「その苦味が飲み物を風味よく長持ちさせる」と書き残したことからとのこと。これらのハーブはプランターでも簡単に育てられるのでヒルデガーデンをつくってみてはいかがでしょうか。ハーブのよい力と毒草を見分けられるのも人の勤めと記しています。 聖ヒルデガルトの知恵をぜひ身近に感じていただけるとうれしく思います。