政府は、「明日の日本を支える観光ビジョン」(平成28年3月30日明日の日本を支える観光ビジョン構想会議決定)に掲げられた目標の実現に向け、政府一丸、官民一体となって取組を進めています。

 

 

 


 観光ビジョンに掲載された各施策に関連する取組を推進し、北海道における課題の解決と、北海道の特色を活かした観光振興のための環境を整備するため、これまで訪日外国人旅行者の受入環境整備に取り組んできた「訪日外国人旅行者の受入に向けた北海道ブロック連絡会」を発展的に改組し、新たに国の関係機関等を構成員に加えた「観光ビジョン推進北海道ブロック戦略会議」を平成29年に設置し、定期的に開催しています。

 

 

北海道観光の現状

道央圏に 集中している 

宿泊延数の7割以上が道央圏。

日本人は半数程度。 

道内の宿泊施設数の4割、客室数の半数、国際観光ホテルの4割 は道央。

免税店は全道の約8割が道央圏に集中。 

道のホームページに掲載されているファームインの半数は道央。

次に 多いのは道北や十勝。

クルーズ船の寄港が多いのは道南、道央。

十勝は寄港なし。 

レンタカー事業者の約4割は道央。

レンタカー車両の約6割は道央。 

新千歳空港に集中している 

出入国者数の9割以上は新千歳空港を利用。 

新千歳空港以外の道内空港の出入国者数は近年減少傾向。 

国際線定期便の利用が増え続けているのは新千歳空港のみ。 

国際線のチャーター便はその他の空港で増加。 

個人で宿泊、 移動するスタイルが増えている 

レンタカーをはじめ、鉄道や路線バスの利用者は増加の傾向。 

ユースホステル・ゲストハウスや民泊の利用者は増加の傾向。 

繁忙期と 閑散期で差が大きい 

全国平均では最多月は4月だが、北海道は4月が最も少ない。 

最少と最高の月の差は、全国(1.2倍)に比べて北海道は大きい (2.7倍)。 

日本人よりも繁閑の差が大きい。 

国ごとにみると、繁忙と閑散の月やその差の大きさに違いがみられる。 

クルーズ船の寄港時期は、冬以外の季節に限られている。 

コト消費への意欲は高い 

北海道を訪れる外国人観光客は、全国平均よりも収入が高め。 

1人当たりの旅行消費額は、関東に次いで高い。 

1人当たりの旅行消費単価は、「買物代」の減少が要因で減少傾向。

「娯楽サービス費」は「買物代」の1割未満だが、その差は徐々に縮まっている。

アジアは「食事」、欧米豪は「観光・レジャー」にお金をかけたい。 

アジアは「雪景色と温泉」、欧米豪は「エコツーリズムと日本文化の体験」に期待。

アジアでも、エコツーリズムや有名な歴史や建築物の見学などへの期待は上昇傾向にある。 

アジア圏からの観光客が多く、増加傾向宿泊延数の割合は中国、台湾が突出し、韓国、香港が続く

 「アジア」と「欧米豪」で比較すると、アジアの割合は高まっている。

 1人当たり旅行消費単価は、欧米豪の方が高い。

 

 

北海道観光50年の軌跡

 

 

2020 年8月から編集作業が始まり、当初は順調に進んでいましたが、その後新型コロナウイルス感染拡 大の影響で、2021 年4月以降地域との往来や対面による人との接触が著しく制限され、一部地域や業界へ の取材が十分出来ない状態に陥ってしまいました。

 

 そのため、当初計画していた、2022 年3月発行が危惧されましたが、執筆者及び関係各位のご協力により、 予定通り発行できますことを、心より感謝申し上げます。

 

 「北海道観光 50 年の軌跡」を編集している中で、いくつか気付いた北海道観光のキーワードがありました。

 

 一つ目は「多様性」と「エリアマーケティング」です。 

北海道には多様性を生かすポテンシャルがあるにもかかわらず、現在どこでも「富裕層」「アドベンチャー トラベル」が金太郎飴状態になっています。

確かに北海道観光にとって一番重要な取組目標ではありますが、 グローバルな競争環境に勝ち残れるのは、一部の地域や事業者に限られています。 一方で、旅先で何の予定も立てず、ふらっと地元の方が利用する居酒屋や商店に立ち寄ったり、気が向いた時に何度も温泉に入って、友人や家族とおいしい酒を酌みか合わしたいという、ストレス解消や癒しを 求めるサイレント・マジョリティも無視できない市場だと思います。

 「顕在化したニーズ」だけではなく「潜在化しているウオンツ」を探し出し、地域の多様性を生かす「エリアマーケティング」が今求められています。 

 

二つ目は「地域における人材の確保・育成」と「安定的な事業の継続」です。

 先進的な自治体を訪ねてみるとそこには「スーパー公務員」と呼ばれる人材が多くいました。また上手 くいっている事業者にはカリスマ性のある経営者に加え、長年現場を仕切っている「いぶし銀」のような 方が見受けられました。 

これからは事業継続に必要なマネジメント能力をもった人材に加え、

AIをはじめとする新しい分野に精 通した人材が必須で、その確保のためには「安定的な事業の継続」による一定の報酬が不可欠です。 

道央圏では一定のスキルを持った人材確保は可能だとは思いますが、その他の地域における人材確保・ 育成が一番の課題です。

観光予算を考えるとき、「プロモーション」や「受入環境整備」以上に「地域における人材の確保・育成」のための継続的な予算措置を考えていく必要があると思います。

 

 三つめは、「情報の共有化」と「ノウハウの汎用化」です。 

「北海道観光 50 年の軌跡」を発行するにあたり、まず観光に関係するデータや資料を集めました。結果、貴重なデータや資料が沢山見つかりましたが、残念ながらそのほとんどがすぐには見つからない場所に眠っていました。

また、それぞれの組織や団体が素晴らしいビジョン、戦略を提案していますが、それぞれの関連性や役割分担がよく見えませんでした。 

そのため、本書では巻末に発行に際して収集、提供いただいたデータや資料を出来る限り公開することに しました。

これが「情報の共有化」と「ノウハウの汎用化」のきっかけになれば幸いです。

 (2022 年2月 中村記) 編

 

 

 

 

 

 

<エリア別>

 

 

 

 

<省庁別政策>

 

 

<北海道の魅力発信による消費拡大事業>