『My Name Is Prince』Prince 歌詞の和訳 | Football, Guitar & Music

My Name is Prince
Prince & The New Power Generations

"Prince and the New Power Generation!"
(I wanna be your lover) (Partyup) (Controversy) (Prince)
(I wanna be your lover) (Partyup) (Controversy)
「プリンス&ニューパワージェネレーションズ!」

(I wanna be your lover、Partyup、Controversy、Prince)

 

My name is Prince and I am funky
My name is Prince, the one and only
I did not come 2 funk around
Till I get your daughter, I won't leave this town
オレの名前はプリンス、そしてオレはファンキー
オレはプリンス、オレしかいない
ファンクしにきたわけじゃないぜ
アンタの娘さんをもらうまでは、この街を離れないから

  • この曲は、プリンスが1992年に発売した曲です。プリンスと言えば、色々な異名があることで有名です。元プリンス、ジ・アーティスト、発音できないシンボル。それに、インタビュー嫌いの変人だとも・・・。
    今回は『プリンス・インタヴューズ』(アーサー・リジー編、押野素子・橋本司訳、リットーミュージック)からヒントをもらいながら、歌詞を和訳していきます。
  • プリンスはデビューのときから、異例中の異例なアーティストでした。18歳でファーストアルバムを製作しますが、
    「製作に関して、何もかも自分の思いどおりにできたんだ」
    「そういう契約を結ぶまでに1年以上も交渉しなければならなかった。だから、僕がどんなアルバムをつくりあげようが、レコード会社は受け入れるしかなかった。スタッフが僕に話しかけることすら許されなかったんだ!」
    と豪語しています。
  • プロのマンガ家がマンガを描くとき、編集者と試行錯誤しながら作り上げていくのだと思います。プロじゃなくたって、他の人に「これ、どうかな?」と尋ねるのが当たり前ではないでしょうか。
    でも、プリンスは違ったようです。
    「一生懸命働いて、分別と冷静さを失わずにいれば、いつか自分のやりかたでできるようになると思っていたし、実際にそうなった。だから、誰かを侮辱しようと思っているわけじゃなくて、自分の仕事に集中しているだけだ。だいたい僕のやりかたがベストだし」
    と、ここでも豪語しています。
  • オレには編集者なんていらないし、誰にアドバイスをもらわなくても構わないんだ、ということでしょうか。
  • プリンスは特に、自由を求めていました。
    インタビュアーに「物事を自分の思い通りに進める人だと広く認識されていることについて、どう思うか」と尋ねられると。
    「自由であることが重要なんだ。自由であれば、それが作品にも表れる。素晴らしい音になるんだよ」と答えています
     

In the beginning God made the sea
But on the 7th day He made me
He was tryin' 2 rest y'all when He heard the sound
Sound like a guitar cold gettin' down
I tried 2 bust a high note, but I bust a string
My God was worried until he heard me sing
始まりのとき、神はこの海をつくられたが
7日目に、この私をつくられたのだ
その音を聴いたとき、神は人々に安らぎを与えようとした
ギターのような音で、困難は過ぎ去ろうとしていた
高い音色まで響かせて、でも弦を一本切ってしまった
神は心配された、私の歌声を聴くまではね

  • この『プリンス・インタヴューズ』には、デビュー当初の1978年から、亡くなる直前の2016年までのインタヴューが載っています。本の後半になってくると、宗教やプリンスの信仰についての話題が多くなってきます。
  • プリンスは、スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンからインスピレーションを得ていて、そのバンドでベースを弾いていたラリー・グラハムを、自身のバンドに迎え入れました。その彼が、プリンスに新しい信仰を紹介したと言われています。2001年に入信すると、インタヴューの中で、自分から宗教の話しが出てくるようになっています。
  • 2001年にインタビュアーから「レコード業界が腐敗しているとあなたが考える理由を具体的にお願いします」と尋ねられると。
    「その目で確かめてみるといい。本当の意味でね。最近読み始めた聖書の中にも似たような内容がある。なぜ人は創造主に逆らうのか?庭の場面から始まる、とてもシンプルな話なんだ。神はアダムとイブに『おまえたちは必要なものをすべて持っている』と告げる。やがて、ふたりは自分たちも神と同じように創造できると考え始める。この話について、よく考えてみてほしい。今はその庭にほかの誰かが入り込んでいる、そうだろう?」
    と答えています。
  • この曲は1992年に発売されたこともあるのか、神を天地創造の、全能の神として描いています。6日目にアダムとイブが作られ、なおかつ7日目にはプリンスを作ったんだと、ここでも豪語。プリンスはアダムとイブの子孫ではなくて、特別な存在「the one and only」なんだと宣言していますね。先ほどのインタビューでも、そんな創造主に近い創造者に逆らうのはおかしいだろ、と怒りの気持ちが表れています。
  • 他にも、
    「ラリー・グラハムが聖書を読むのを手伝ってくれて、自由について教えてくれた。聖書が、”真実”を教えてくれたんだ」
    とも話しています。
     

My name is Prince and I am funky
My name is Prince, the one and only
Hurt me!
(Do that, do that somebody) {x8}
Hurt me!
オレの名前はプリンス、イケてるだろ
オレはプリンス、そう、あのプリンス
傷つけてくれ!
(さあ、さあ誰かやってくれ)

 

  • 「オレの名前はプリンス」と歌っていますが、この名前については紆余曲折がありました。大きく影響したのは、レコード会社ワーナー・ブラザーズ・レコードとの契約でした。楽曲の製作には横からの指図を受けず、自分の思い通りに進めることができました。ただ、音楽を出版する権利を持っていたものの、アルバムの原盤権を持っていませんでした。
  • 1996年に長い戦いの末、ワーナーとの契約を終えます。本拠地ペイズリー・パークで開いた記者会見では、
    「(記者会見に先立ってのライブで)新曲の他に『Purple Rain』を演っていましたが、なぜあの曲を?」と尋ねられ、
    「今日は最高の気分だったからね。だから、古い曲をたくさん引っ張り出すだろうな。僕はプリンスの音楽の持ち主じゃない。音楽出版権を持っているけれど、原盤権は持っていない。『Purple Rain』の所有者じゃないんだ。でも、演奏のしかたは知ってるよ(笑)」
    と答えています。
  • また、
    「自分の音楽の使用許諾を得ようとワーナーに連絡しても、折り返しの電話すらない。つまり、自分の音楽を自由にできる権利を持っていれば、それらを使って、効果的なマーケティングをいくらでも行うことができる。そのために何年も戦ってきたし、これからも勝つまで戦い続けるよ」
    とも話しています。
  • この戦いの中で、プリンスという名前を消して、発音のできないシンボルに「改名」します。アメリカだけでなく世界中で、彼の奇行だと思われました。しかし、プリンスの中では、アーティストの権利を守るための行動だったようです。
    「僕はプリンスの音楽を所有していない。マスター(原盤)を所有しなければ、マスター(雇い主)に所有される」
    と言いました。
  • その背景には、1993年に標準以下の出来と判断した作品のリリースをワーナーが拒絶したこともあるようです。35歳の誕生日を迎え、作品の権利をワーナーが所有し続ける限り、今後は発音できないシンボルを名前にすると発表しました。
  • また、過去の黒人ミュージシャンが直面してきたジレンマに陥っていたとも言われます。たとえば、レッドベリーの音楽は、野心的で儲け主義の白人達によって書き写され、サム・クックやレイ・チャールズも、音楽出版権を求めて戦いました。プリンスは、そんな戦いを知っていたからこそ、アーティストの権利を守りたかったのかもしれません。


My name is Prince and I am funky
When it come 2 funk, I am a junkie
I know from righteous, I know from sin
I got 2 sides and they both friends
オレの名前はプリンス、そして強烈
ファンクになるとき、ジャンキーになる
正しいことも分かる、罪なことも分かる
表も裏もあって、どちらとも手を組むんだ

 

  • もうひとつ、大きな戦いの理由がありました。それは、プリンスの多作さにあったようです。
    「一心不乱に働いていると、一度にたくさんのアイディアが溢れ出してしまうことがある」
    と言います。
  • 自身のスタジオには、1000曲以上のストックがあるとも言われます。さらに、契約の中でアルバム1枚につき、10億円以上の前払い金を保証していたようで、ワーナーはリリース数を抑えようとしていたとのこと。
    「音楽業界には、僕みたいなアーティストに対応する別の手段があるべきだ」
    「ハーレム・ダンス・シアターもバレエ音楽をあげようと思ったことがある。ワーナーはノーと言った」
    「無料で音楽をあげるって話なんだから。ただ音楽をあげてくれ」
    「こういうときに対立した」
    とも話しています。


Don't try 2 clock 'em, they're much 2 fast
If U try 2 stop 'em, they'll kick that ass
Without a pistol, without a gun
When U hear my music, U be havin' fun
That's when I gotcha, that's when U mine
2 tell the truth, tell me what's my line?
あいつらを録音しちゃダメだ、速すぎるんだ
もし止めさせようとしたって、あいつらには敵わない
ピストルなしで、ハンドガンもなしで
オレの音楽を聴いたら、楽しくなれるさ
その時オマエを手に入れて、その時オマエはオレのもの
正直なところ、オレの限界を教えてほしいぐらいだぜ

 

  • 名前については、契約だけでなく、プリンス自身の思いもあるようです。
    インタビュアーに「子どもの頃に、プリンスで呼ばれることに、何より違和感を覚えていたのではないでしょうか?」と尋ねられ、
    「若いときは、人を特別な存在にしている特徴について理解できていないんだ。知ってのとおり、子供って、他人の目立つ特徴を躊躇なく口に出すものだろう。その頃の僕は、自分の中に、自分ではない別の人間を探すようになった」
    「その特徴こそ自分の武器なんだと思えるようになったとはいえ、苦しみが消えたわけではなかった。もうずっと昔の話だけどね」
    と話しています。
  • また、
    「僕の名前を呼ぶのを拒否した教師もいた。キングとか、そんな感じで呼ぶようなものだからね。ある先生は僕に向かってこう言おうとしていた。いいか、それはおまえの名前じゃない。そんなのはただのでっちあげだ」
    とも。
    彼なりに悩みもあったようです。
  • しかし、2000年のインタヴューでは「こんにちは、プリンス。おかえりなさい」と言われ、
    「いい響きだ。その名前を聞くのはしばらくぶりだね」
    と答え、2009年にも
    「この名前が気に入っているんだ。僕にぴったりだと思う」
    と話しています。
     

My name is Prince and I am funky (U can't stop Prince)
My name is Prince, the one and only (U can't stop Prince)
Hurt me!
(Do that, do that somebody) {x4}
Funky fresh 4 the 90's (Prince)
オレの名前はプリンス、イケてるだろ(プリンスは止められないぜ)
オレはプリンス、そう、自信満々だぜ(プリンスは止められないぜ)
傷つけてくれ!
(さあ、さあ誰かやってくれ)
1990年代の新しい時代だぜ

My name is Prince, I don't wanna be King
Cuz I've seen the top and it's just a dream
Big cars and women and fancy clothes
Will save your face but it won't save your soul
オレがプリンスだ、キングになるつもりはない
だって頂点を見てきたし、ただの夢だったよ
デカい車も、女の子も、きれいな服も
見た目は良くなるけど、魂を救ってはくれない

I'm here 2 tell U that there's a better way
Would our Lord be happy if He came 2day?
I ain't sayin' I'm better, no better than U, huh
But if U want 2 play with me, U better learn the rules (Ow!)
オマエに言ってやろう、いいやり方があるさ
我らの神が幸せになるだろうか、今日彼が来たとして
オレの方がましだとは言ってない、オマエよりましともな
でも、オレとプレイしたいなら、ルールは学んだ方がいいぜ

 

  • プリンスは、相対する相手に色々なルールを求めました。
    インタビューするときには、録音は禁止、メモも禁止。
    ワーナーとの契約が終わると、メモはOKになりました。
    ライブの客には、録音・録画は禁止。
    携帯電話を出すだけでも退場となるようです。
    他のアーティストには、自身の曲をカバーすることを禁止。
    カバーだけでなく、サンプリングすることも快く思っていませんでした。


My name is Prince and I am funky (U can't stop Prince)
My name is Prince, the one and only (U can't stop Prince)
I did not come 2 funk around (U can't stop Prince)
Till I get your daughter, I won't leave this town
I won't leave this town {x2}
I won't leave this, leave this, leave this?
オレの名前はプリンス、そしてオレはファンキー(プリンスは止められないぜ)
オレはプリンス、唯我独尊(プリンスは止められないぜ)
ファンクしにきたわけじゃないぜ(プリンスは止められないぜ)
アンタの娘さんをもらうまでは、この街を離れないから

My name is Prince and I am funky (U can't stop Prince)
My name is Prince the one and only (U can't stop Prince)
Funky fresh 4 the 90's
(Do that, do that somebody) {x4}
Hurt me!
オレの名前はプリンス、イケてるだろ(プリンスは止められないぜ)
オレはプリンス、そう、自信満々だぜ(プリンスは止められないぜ)
傷つけてくれ!
(さあ、さあ誰かやってくれ)
1990年代の新しい時代だぜ

The funkier I be, the funkier I get, ooh shit
もっとファンクに、もっとファンクを
Lickety split on the lyric, a new jack in the pulpit
歌詞に全速力だぜ、教会の新入りさんよ
Watch it deacon, your track is leakin'
牧師の補佐には用心しろよ、オマエの音楽は漏れてるぞ
What is this U're seekin’?
これは何だ、オマエが求めているものか?
The syncopated rhymes are at their peak when?
ずれた韻が盛り上がるのはいつだ?
U jumped on my D.I.C.K.
オマエとヤッたんだ
That's the one thing I don't play
あれは、そうオレが出来ないこと
The jock strap was 2 big 4 U anyway
ビキニパンツはオマエにデカすぎだぜ、とにかくよ
U're just a simpleton
オマエはただのマヌケだぜ
I'll bust U like a pimple, son
オマエをにきびみたいにつぶしてやるよ
My star is 2 bright, boy
オレのスターはすげー輝いてるぜ
I'll sink U like the ship Poseidon Adventure
ポセイドンアドベンチャーの船みたいに、オマエを沈めてやるよ
U're bumpin' dentures 2 be cocksure
オマエは自信満々のガタガタ入れ歯
There must be more coming from your mouth than manure
畑の肥やしよりも、お前の口の方がにおうぜ
So with a flow and a spray, I say hey
早口でさ、つばを飛ばしてさ、ヘイ
U must become a Prince before U're King anyway
オマエはプリンスになるはず、キングになる前にね
(Do that, do that somebody) {x2}


It's time I get ig-ig-ig-ig-ig-ig-ignorant
無知になるときだ
Def be the beat that I'm rockin’
オレがノってるビートは最高
Yo, so come get a hit
さぁ、ヒットを打とうぜ
And put your thinking cap on
オマエの脳みそを使って
U've been forewarned
うるさく言われた
I call upon the inner forces I've got brewin' in my cauldron
体内の力に頼る、大釜を醸造した
That means my nugget, sometimes I'm rugged
それはオレの黄金、ときには乱暴
The style I posses be havin' the other brothers buggin'
オレのスタイルは、他のヤツらを悩ませる
And this is 4 those who oppose
敵対するヤツら、
And propose 2 overexpose, disclose
さらけ出して暴こうとするヤツらのため
Pose a threat 2 my brother
オレの仲間にとって脅威だ
Like any other man makin' a stand
抵抗しているようなヤツら
I'll be damned if I let U play this hand
オマエにこのカードを渡したって、やられはしない
I'm the blackjack dealer and the cards are stacked
オレはブラックジャックのディーラー、カードは積んであるぜ
What do U expect 2 win when U're used 2 playing craps?
どうして勝てると思う、くだらないことに慣れていて?
Yeah, let's get rid of them, hmm?
さぁ、捨てちまおうじゃないの

(Do that, do that somebody) {x2}

It's gettin' tricky, that means a sticky situation
だんだん手が込んできてさ、やっかいな状況というわけ
2 resurrect a groove with feeling and give it this much affection
気持ちのこもったノリを甦らせるため、たっぷり感情を与える
Passion flows who knows what lurks in the gallows of my mind
自分自身をしめ殺すことに潜んでいることを知っているヤツに、感情は伝わる
I put my foot in the ass of Jim Crow
黒人のケツでしくじっちまう
12 inches of non-stop sole
12インチの、ノンストップ底
I'm on a roll - yo P, it's time 4 the show
オレはツイてる、さぁPよ、ショーの時間だ
So do that, do that somebody
そうさ、やるんだ、誰かがやるんだ
Wave your hands in the air, this is a motherfuckin' party
手を振るんだ、マジヤバのパーティー
While U're layin' back, I'm on the attack
のんびりしている間に、責め立てる
Paddywhack - give yourself a bone
怒ってるぜ − オマエひとりでやってろ
This is my house and I'm prone
ここはオレの家、くつろいでいるよ
2 layin' some chrome upside some motherfucker's dome
バカなヤツらの頭をぶち抜こうとする
And I'm out
さぁオシマイだ

My name is Prince and I am funky
My name is Prince, the one and only
オレの名前はプリンス、オレはファンキー
オレはプリンス、唯一の存在

My name is Prince {x10}
オレの名はプリンス

 

  • 最後に、プリンスが音楽に込めた思いを紹介します。
  • 多くのミュージシャンが「心の中で感じていることを音楽にして、自分の時代を語るよりも」金を儲けようとしている。
  • 「ダメと言われているのに、エルヴィスやヘンドリックスのコンサートにこっそり行ってしまうような、興奮や怪しさがない。音楽の中で真実を語っている人は、あまりいないような気がする」
  • 「他のバンドとたくさんジャムしたんだ」「75年頃は、競争が激しかった。すごい活気があった時代だ」「これで自分の殻を破ることができたんだろうな」「最大限に弾けて、自分なりの個性を出さなきゃならなかった」
  • 「僕にとって音楽はすべてだ。音楽をつくることが大好きだから、音楽をつくっている。音楽は魂であり、癒やしの力だよ。信念と魂を込めて演奏すれば、同じことがほかの人にも起きる」
  • 「(ギターを)思ったとおりに弾けるようになるまでに長い時間がかかった。だから、それだけの努力ができる人は尊敬する。レブロン・ジェームズになるのは
    大変だよ。猛烈に努力しないと」

    参考・引用文献
    『プリンス・インタヴューズ』(アーサー・リジー編、押野素子・橋本司訳、リットーミュージック)