『Losing My Religion』 R.E.M. 歌詞の和訳 | Football, Guitar & Music

Losing My Religion
R.E.M.

Life is bigger
It's bigger (than you)
(And you), you are not me
The lengths that I will go to
The distance in your eyes
Oh no, I've said too much
I set it up
生きることって、大きいんだ
大きいんだよ、(君が思っているよりもね)
そう、君は僕とは違う
ずっと向こうまで行きたいんだ
君の目に映っている隔たりを・・・
おっとっと、喋りすぎたね
ウソウソ、嘘だよ

 

  • 『R.E.M.語録』(ピーター・ホーガン編、五十嵐正訳、シンコー・ミュージック)の中に、この曲の歌詞を日本語にするヒントがたくさんありました。「R.E.M.とは何ぞや」ということを、こう話しています。
    「R.E.M.とは一部嘘で、一部心で、一部がらくたである」
    「僕らはこれを趣味として始めて、とても幸運なことに今では趣味が生活を支えてくれるところまできたんだ」(ピーター・バック)
    「オレたちの代弁者」として、世の中の正義や不満・政治のおかしさを訴えてくれる、というような思いを世間から持たれがちでした。でも、実は嘘もあるし、実は趣味の延長なんだよと捉えなきゃいけないようです。
     また、マイケル・スタイプは「僕らは自分たちのレコードを他の世界への扉のようにしたいんだ」とも話しています。聴いている人を、想像の世界に羽ばたかせるものなのでしょう。つまり、歌詞も同じで、嘘もあり、聴く人の想像を膨らませるものだということです。

That's me in the corner
That's me in the spotlight
Losing my religion
Trying to keep up with you
And I don't know if I can do it
Oh no I've said too much
I haven't said enough
すみっこにいるよ、僕が
強い光を浴びている、僕は
怒りで自分を見失っているんだ
君と付き合おうとはしているんだけど
出来るのかどうかは分からないな・・・
なんてこった、喋りすぎたね
充分話していないよ

 

  • 「Losing My Religion」を録音したスタジオのイアン・キメットは、「この曲のタイトル、怒りやフラストレーションを表すときに使われる米南部特有のフレーズなんだと、マイケル・スタイプに教わったことがある」と語ります。『R.E.M.語録』にも、彼らの基盤についての記述があります。
    「南部人は、救いがたい部外者なんだ。映画やTVでは、南部人はいつも田舎者だ。馬鹿に描かれている」
    「南部出身であることは、よりゆっくりで、より内省的な多くのものを含んでいる、僕は南部のことをそういうふうに考えている。そのことは僕らのレコードの多くから伝わってくる」(ピーター・バック)
    アメリカ南部の出身だということを、強く意識しているようです。


I thought that I heard you laughing
I thought that I heard you sing
I think I thought I saw you try
君が笑っているのを聞いたつもりだった
君が歌っているのを聞いたつもりだった
君がやろうとしているのは、分かっているつもりだったけど・・・

 

  • そして、
    「これは妄想にとりつかれている状態についての古典的な曲だ。誰か他の人に思い焦がれる誰かについての曲。片思い、その他ね」
    「世界の状態についてのコメントかもしれないよ、たぶんね」(マイケル・スタイプ)
    とも話しています。
    「君が笑っているのを聞いたつもりだった」と、いかにも君と僕ふたりの歌詞に思えますが、マイケル・スタイプはインタビューではぐらかしています。ピーター・バックは「Losing My Religionは自伝的だと僕は思う」とも語っています。
     4枚目のアルバム『ライフズ・リッチ・ページェント』を作ったときのインタビューで、マイケル・スタイプは「僕は全体像より細部に焦点を当てていて、その細部が歌詞になるのだと思う。その回りに枠をはめることは聴き手にゆだねられているんだ」と話しています。
     歌詞の意味を、書いた張本人にあれこれ尋ねるのを、彼らは好んでいないようです。聴き手のそれぞれが自分なりに考えて、想像の世界に羽ばたいていくべきなのでしょう。


Every whisper
Of every waking hour
I'm choosing my confessions
Trying to keep an eye on you
Like a hurt lost and blinded fool
Oh no, I've said too much
I set it up
目が覚めている間は、
どれもひそひそ話
白状するからさ
君のことを、じっと見つめようとしている
傷ついて、迷って、見えなくなった愚か者みたいに・・・
あ〜あ、喋りすぎたね
嘘だよ、ウソ

 

  • 『ライフズ・リッチ・ページェント』の時は、「角を曲がることが新しいスリルをもたらしてくれるから、僕らはこれをやったんだ」(マイク・ミルズ)
    次作『ドキュメント』でも、「どのレコードもその前のものに反動する過程だ」(ピーター・バック)
    と語ります。
    6枚目のアルバム『グリーン』が大ヒットしたおかげで「グリーンのヒットは文字どおりに僕らに急ぐ必要がないから、ゆっくりやりなさいという時間を稼いでくれた。うまくいかなかったら、僕らは最初から再びやり直すんだ」(ビル・ベリー)
    と、金銭的な余裕もあって、「R.E.M.といえば、このイントロ」と言えるような、今までとは全く違う曲を生み出せたようです。

 

Consider this
The hint of the century
Consider this
The slip that brought me
To my knees failed
What if all these fantasies
Come flailing around
Now I've said too much
考えてみてよ、
世紀の変わり目が何となく分かるよね
考えてみてよ、
僕に渡された紙切れのことさ
僕の膝は動かなくなって
空想が何でもかんでも
激しく揺れだしたら・・・
さてさて、話し過ぎちゃったかな

 

  • 「僕が書く曲のどれもが、ホームレスや環境への関心、または政治といったもの全般の窮状についてでなければならないというイメージに固定されるべきじゃないと感じている」
    「僕はこのアルバムを『フィクション(作り話)』と名付けたかった。全部の曲が作り話だし、全てがラヴ・ソングだ」(マイケル・スタイプ)
    この「Consider this」からの歌詞は、この曲の中でも最も想像が分かれる部分かもしれない。目の前にいる相手に「空想が揺れ出したらさ・・・」なんて話したら、確かに「話し過ぎた」と我に返るのかもしれません。


I thought that I heard you laughing
I thought that I heard you sing
I think I thought I saw you try
君が笑っているのを聞いたつもりだった
君が歌っているのを聞いたつもりだった
君がやろうとしているのは、分かっているつもりだったけど・・・


But that was just a dream
That was just a dream
でも、ただの夢だった
夢でしかなかったんだ

 

  • マイケル・スタイプは「夢は誰にとってもとても非常に重要なものだと思う。僕には間違いなくそうさ。他の何とも同じくらいに現実的なんだ」と話します。『R.E.M.語録』には、他にも2ヶ所は夢を元にして作曲したことが示されている。しかも、かなりハッキリした夢をみるとのことです。


That's me in the corner
That's me in the spotlight
Losing my religion
Trying to keep up with you
And I don't know if I can do it
Oh no I've said too much
I haven't said enough
すみっこにいる、あんな僕は
スポットライトを浴びている、あんな僕は
生きる意味を見失っているんだ
君に連絡しようとはしているんだけど
出来るのかどうかは分からないな・・・
なんてこった、喋りすぎたね
充分話していないよ


I thought that I heard you laughing
I thought that I heard you sing
I think I thought I saw you try
君が笑っているのを聞いたと思っていた
君が歌っているのを聞いたと思っていた
君がやろうとしているのを、理解していると思っていたけど・・・


But that was just a dream,
try, cry, why, try
That was just a dream,
just a dream, just a dream
Dream
でも、ただの夢だった
やろう、叫ぼう、どうして、やろう
でも、ただの夢だった
ただの夢さ、ただの夢
夢さ

 

  • 「多くの点で、人びとがこのバンドのところへやってくる理由は、彼らは僕が何らかの答えを持っていると思っているからだろうね。でも、僕だってほかのみんなと同じように迷っているんだ。だから、僕にこれらの疑問に答え、ユーモラスで哲学的な逸話をぺらぺらとしゃべるのを期待されても、時には難しいよ」
    「僕はみんなが見せかけてくれているほどは利口じゃない。僕は高卒で雑誌が愛読書だよ」
    と、マイケル・スタイプは語ります。
     それでも、彼らアメリカ南部人の特徴が出ている訳なのでしょうか、私自身も深く自分を省みることが出来るような、素晴らしい内省的な歌詞と音楽だと思います。